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筑後の創り人特集 part1

  • 2008-08-09 (土) 10:31
  • 特集

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筑後はモノづくりの風土が息づく土地柄。

久留米絣、酒づくりは200年から300年の伝統を持っている。その中で若手後継者達が今、試行錯誤をくり返しながら現代に受け入れられるモノづくりに励んでいる。蔵元、織元と呼ばれる彼らの現状、そして今後の取り組みについて
お互いに語ってもらった。

お酒と絣の現状
「まずは実際に、見て触って感じて体感して欲しい」
野村(周) 絣のほうの取り組みのひとつに国の支援をうけ『ジャパンブランド』事業をしています。メンバーはここにいる4人です。活動は20代、30代の若い世代にも興味を持ってもらうために「久留米絣とはどういうものか」ということを小冊子を作って配ったり、また東京や横浜などのデザイナーさんとコラボレーションして若い人も着られるようなデザインで洋服をつくってもらってネットなどで販売する活動にも参加しています。まずは久留米絣をひろめていきたいのです。「久留米絣って何?」って言われた時に誰かが着ていないと説明できない。だから今日のような時も皆絣を着ています。絣は冬は暖かく夏になるとものすごく肌触りがよくて涼しくて気持ちよいものだということをもっとPRしていきたいし、皆さんにも体感して欲しいのです。
森永 お酒は中途半端に悪いイメージがあるところがあります。例えば日本酒を飲むと悪酔いするとか…、マイナスをゼロにするところからのスタートでした。
丸山 絣もそうです。ちょっとお洒落な絣の服を着ていても「どうせもんぺでしょ?!」と言われるんですよね(笑)
津留 でも逆に若い子とかに昔ながらの絣生地を見せると「かわいい!」と言ってくれたりします。
森永 僕は出張に行く時には久留米絣をお土産にすることがあります。ただ久留米絣の説明ができない(笑)。地元の伝統的文化ということしか出てこないんです。僕らがお酒のことを分かって欲しいなと思うと同じように、地元の文化も勉強していかないといけないとつくづく思いますよね。
林田 昔は卸した業者がやってくれていたことを業界自体が小さくなっていて、織元も蔵元も自分達でつくったものを自分達でケアしていかないといけない気がするよね。
森永 もしかしたら絣も同じようなことがいえるのかもしれないけど、お酒で言えば世の中の20歳以上のかたが全員がおいしいお酒の存在を知っていて『今の状態』ならお手上げなんです。でもイメージと偏見と先入観があって、もともとお酒はイヤだというところからはいっているから口にしようともしないだけなんです。だからちゃんと伝えていかなければいけないのです。
どう変えるか どう変わるか
「作っている自分達がその良さや価値を理解し伝えていく」
野村(周) 衣・食・住と最初に衣はきますけど、実は洋服っていうのは一番最後に後回しにされている気がするのです。絣は半袖で2万円以下、長袖で3万円くらいします。この値段にかなり驚かれたりします。
林田 でも2万円って聞いて「たった2万円なんだ!」っていう風になっていないことがまずいんじゃない?作ってる自分達がその良さや価値を本当に知って、皆に伝えていけばいいんじゃないかな。久留米絣じゃなきゃいけない理由を伝えていく必要があると思う。僕は業界が違うけど久留米絣のことだけを言っているのではなく自分達のことを言っている部分もあるんだけど、お客様が久留米絣を知らないからではなく、作っている自分達のほうが久留米絣の良さを知らないという部分があるのかもしれない。だから表現できない。知ってたらその価値を表現できると思うのです。
井上 良い物って分かれば1万、2万の値段でも安いと思われるのではないでしょうか。値段じゃないですよ。
林田 「うまい!」と言わせるのはうまいものつくってるんだからそんなに難しいことじゃないのかもしれない、それより「うまい!」と思わせるのが大事だと思っています。そしてそこには、実はちゃんと物語があって「へ~そういう人が、そんな思いでつくっているんだ!」ということを知ることで「美味しい!」と思わざるを得ないくらいになっちゃうよね。
井上 着物とか日本酒とかは晴れの日にしか飲まないってかたが多いですよね。例えば日本酒が低迷しているなかでも各県にはものすごく売れている銘柄があるんですが、久留米絣のメーカーさんで飛び抜けて売れているというメーカーはあるんですか?
野村 どこも生産能力が決まっていますから飛び抜けてというのはないのです。
森永 皆さんの場合は自分達の名前を商品にして売られているわけではないんですね?
野村(周) そうです。織元のなかでも自分のところでデザインして自分のタグを付けて売っている、つまり売る力があるところはそこから付加価値がついて伸びていきますが、久留米絣はかなり難しいところがあるんです。昔は反物さえつくっていれば問屋さんに買いにきてもらっていた時代が長かったんです。とにかく作ればいいという感覚がまだ自分達のなかにもあるのかもしれません。
森永 例えば、丸山さんは自分で服もつくられていますよね。丸山ブランド的なものをつくりあげたいと思われているのですか?
丸山 そうですね。問屋さんが作っている洋服と僕がつくっている洋服とは全くちがうのです。こんなに細いの誰が着るの?っていうものもありますし、オーダーだから個人の体型にあわせて作ったりもできます。だから僕は逆に問屋さんがこのデザインで作って!というような関係をつくりたいですね。

ライフスタイルに取り入れるには
「絣もお酒も趣味嗜好的には割合近いものがある」
林田 自分達はいいものをつくっているという自信があるじゃないですか。実際、僕たちも酒販店さんがあってその先には店頭で売るか飲食店ですよね。でも酒販店さんが『おたくの蔵がいい酒をつくっているのは分かっている、でも市場は焼酎を求めているから日本酒の店頭陳列を増やせないんだ』と言われてたら、どんなに頑張ってもそこまでなんです。じゃ彼らの意識が変わって「日本酒をお願いします」と言ってもらえるようにするにはどうしたらよいかなんです。その活動のひとつに福岡県酒造組合が開催している福岡市内とその近郊の女性をターゲットにした『お酒の学校』という企画があります。
森永 ちなみに彼女たちが「何かパーティーやりましょ!」となったときも和装のかたも多いですよ。
津留 和のブームがきてますよね。だからチャンスやねぇとは思うのです。
林田 絣もお酒も、趣味嗜好的には割合近いものがあると思います。
今村 私は着物の着付け教室を地元の大川でしていますけど、着付けも意外と若い方が多いんです。自分で浴衣くらい着たいという思いで来られています。一回着物を知ってしまうとトータルで和を楽しみたいということで日本酒に目がいったり、博多座で着物を着て行ってみたいとかになるんです。また大川は家具の産地です。よく若手家具職人さんとお話する機会があるのですが、いい物を作っているという自信もあるけど、それをどうPRしてよいのか分からないと言われます。そして最近は家具があってそして陶器を置いたりフラワーアレンジメントを置いたりすると「この空間が欲しい」と、トータルで求められるお客さんが多いそうです。絣もイベントをする時など、どこかとコラボレーションするなどしてライフスタイルのなかでどういう風に取り入れるか、使い方を提案してあげるとどうでしょう。
井上 今、日本酒の世界でも、日本酒の良さとライフスタイルを逆輸入する、つまり海外で認めてもらってまたこっちに…みたいな傾向はありますよね。例えば、福岡の気質も外からのものを受け入れるばかりで自分のところのものの良さを分かろうとしないという傾向があるんです。福岡の地酒屋さんには福岡のお酒がないお店がいっぱいあるんです。地酒というのは福岡のお酒があるから地酒屋であって、他県のお酒をいうのではないのです。僕は今後も、もっと地元とコラボレートしていきたいと思います。実は僕は以前から久留米絣をラベルに使いたいと考えていました。知り合いのお酒のラベルに織物のラベルを使ったものがあります。これいいなぁ!と思ってたんです。そして井上の「井」、そして三井郡の「井」にかけて井桁のマークをいれたいと考えています。五百円くらいで宜しくお願いします(笑)
今後の取り組みとお互いの関わり方
「まずはそれぞれの絣やお酒のファンに呼びかける」
野村 絣は小さい会社の集まりです。1社だけじゃ限界があるんです。これからはお客さまと対話をしてお客さまがどういうニーズを持っているのかを聞いていきたいですね。
丸山 とにかく今までの絣の固定観念にとらわれずに僕は自分が作りたいものを作っていこうと思います。そうすることでオリジナル性をだしていきたいです。自分達が変わっていかないと何も変わりませんよね。
森永 お互いが持っているファンの人たちというのは、ある程度の割合では両方のファンになりえるかもしれませんよね。地元の文化を大切にしながら皆さんにそれぞれの楽しみ方を提案するという風に考えたらどうでしょう。
野村(周) 例えばギフトなどで箱の下に久留米絣を敷いて筑後のお酒を詰めてみたらどうでしょう。久留米絣とお酒の説明なども添えて。袋物とかは加工しなければいけないから手間賃がかかってきますが、僕たち織元としては加工しないほうがよいのです。また絣にはたくさんの色や柄がありますから絣の生地と好きな筑後のお酒を組み合わせてもらっても面白いですよね。
今村 「創り手」という意味で久留米の『創り手めぐり』というイベントができるかもしれませんね。例えば久留米のラーメン工場めぐり、絣の織元めぐり、お酒の蔵元めぐりなどもいいですよね。
森永 夏場のイベントに僕は久留米絣を着て帯は博多織をして行くこともあります。まずそれぞれの絣やお酒のお互いのファンに呼びかけながらお酒を愉しんだり、絣を紹介したりして交流していきましょうよ!今後も定期的に集まってお酒でも飲みながら打ち合わせをしていきたいですよね。世代も近いので長いつき合いになればいいですよね。
津留 ほんとですね!お酒が飲みたくなりました。是非やりましょう!実は地元のお酒を飲んだことがないから(笑)
座談会を終えて
 『つくり手』と呼ばれる方たちとお話していて個人的にいつも感じることがあります。人あたりはものすごくソフトだけど、芯はものすごくハードだということ。知れば知るほどそこには「人として」の魅力も隠れていると思うのです。そしてその魅力はきっと形として出ているはずです。また、そこにある『モノづくり』の姿勢は自分自身の「モノづくり」についても改めて考えさせられます。
 お酒と絣、どちらも大切な筑後の宝です。今回は初顔合わせでした。そこにはそれぞれの現状がありますが少しでも思いが重なる部分があるのなら手を繋ぐこともできると思います。そしてその思いを知り、その文化を次世代へ繋げていくのは私たち消費者の重要な役割ではないのでしょうか…
 何事にも言えるのかもしれません。好きになっていくのはゆっくりでもいいと思うのです。すべては『出逢う』ことから始まります。(中野)

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