- 2022-04-04 (月) 15:05
- 歯は健康のバロメーター
硬いものを食べさせた方が
顎が鍛えられる?そうでしょうか?
おちあい小児歯科医院 院長 落合 聡
離乳食から普通食への移行期の子どもたちの健診を行っていると、硬いものを積極的に食べさせて、顎を鍛えた方がいいでしょうか?という質問をよく頂きます。今回は乳幼児期の食材についてお話ししましょう。
硬いものを一生懸命噛んで食べている様子をみていると、確かに鍛えられていると思いますし、成長発達にもいいでしょう。ただし、それは固いものをしっかりと噛んでつぶしてうまく呑み込めていれば、の話です。
硬いものを口に入れてモグモグしてもなかなかつぶれない、となるとどうなるか、吐き出す、あるいは丸のみする、このいずれかになります。どちらかというと吐き出すと怒られるから丸のみになることが多いようです。丸のみの習慣がつくと、食事が早くなり、一見、食事が上手にできているように見えますが、よく見ていると不自然な動きであることがわかりますし、短い時間で飲み込み続けると過剰に栄養を取ることにもつながります。
大人の筋トレに例えて考えてみましょう。腕や胸の筋肉を鍛えるためにバーベルを持ち上げるエクササイズをするとき、初心者がいきなり50㎏、100kgというような重いものを持ち上げようと格闘している姿を見たら?まずは持ち上げることが可能なものから、慣れてきたらだんだん重くする方がいいんじゃないかな?、ただし筋トレは筋肉を鍛える、という明確な目的があり色々なやり方があると思うので、重いものからチャレンジすることを否定するつもりはありませんが、食事は違います。
食事は栄養摂取という生きていくために必要不可欠なものですが、現代においては、人の生活の中で大きな楽しみの一つでもあります。子どもの離乳食や普通食への移行は生きていくためのトレーニングの意味合いももちろんありますが、子どもが自分を鍛えるための鍛錬だ、と硬い食材に挑戦することはありません。この時期は、世の中にはおいしいものがある、モグモグしているとおいしい味がして楽しい、という体験を通して、だんだんと硬いものや大きいもの、ちょっと食べにくいものでも食べたらおいしいんじゃないかな、という意欲を持ってもらうことが重要で、これが顎を鍛えることにもつながっていきます。
離乳食、また普通食を始めるときには、子ども一人一人の様子をみて、無理のないものから始めてみて下さい。
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