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高良川縁起 その9

『宮入貝と日本住血吸虫』

文/高良川 ほとり

彼岸もすぎ、気候も落ち着いてきました。あっというまに稲刈り、新米の季節です。

さて、水田に欠かせない水路。その護岸の話をするならばミヤイリガイの話もせねばいけません。昭和まで筑後川中流域の風土病として恐れられた「日本住血吸虫症」通称ジストマ。水路や田んぼの泥の中にいる日本住血吸虫が皮膚から入り込み最終的には肝硬変を引き起こす、という病気です。原因がわかるまでは致死率も高く、かといって泥の中にはいって農作業をしないわけにもいかず、と病気を恐れながらの生活でした。

この日本住血吸虫の宿主となるのがミヤイリガイ、小さな巻貝なのですが、いまの鳥栖市で宮入慶之助博士により発見、同定されまして、風土病撲滅に向け対策が行われることとなりました。その対策とは生息可能な水路をコンクリート護岸で固め、殺貝剤をまいて火炎放射器で焼き殺す、という徹底的なもの。駆除が行われた結果、1980年を最後に国内症例の報告はなく、2000年にミヤイリガイはほぼ絶滅したと思われます。結果として日本住血吸虫症を根絶することに成功したわけです。

ブリヂストンの創業者、石橋正二郎氏は子ども達の楽しみと体育向上のために、と昭和32年に久留米市内の小中学校21校に水泳プールを建設寄贈されました。また石橋文化センターにも立派なプールがあったのを覚えていらっしゃる方もおられるかと思います。氏の寄贈により久留米市の子供たちはジストマにおびえることなく水に親しむことができました。まさに氏が生涯願った「世の人々の楽しみと幸福の為に」という言葉のとおりです。

ミヤイリガイは環境保全と生態系の維持、そして私たちの健康と文化的な生活、これらのバランスをとるとことの難しさを教えてくれます。

宮入貝供養碑

(生息最終確認の地)

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