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新・落語スズメvol.30

『人が寄れない』

文/松田 一成

仕事柄、会議の予定が結構入っていて、そのほとんどが、zoomという仕組みを使ったネット会議に変更されている。zoom?ネット会議?簡単に言えば、モニター(パソコンやスマホ)の向こうに参加者全員の顔が映っていて、やりとりをする、大掛かりなテレビ電話みたいなものだ。最初の一・二回は、その仕組みが面白くて、会議内容とは別の興味をもって参加していたが、だんだんとその緊張感のなさに飽きてきた。特に参加者が多い場合、相手の顔は見えるのだが、表情から感情を推察するほど精細には映っていない。声もちゃんと聞こえるのだが、生の声のような空気の震えまでは伝わってこない。双方向で無ければ、報告だけのネット会議は紙ベースとなんら変わらないくらいの情報量なのではないかとさえ思ってしまう。何なら、紙ベースの方が自分の都合(時間)で情報を得ることができるので、よっぽど便利だ。コロナ禍の収束が見えないなか、落語もネットを使うことが前提のアドバンテージを見つけなければならない時代になっているのではという話。前置きが長くてすみません。先月号でもお知らせしたが、お手伝いしている落語会をネットで無料配信している。一義的には皆さんにその会、演者を知ってもらう広告のような役割を考えていた。そこから、コロナ禍が明ければ、興味を持たれた方に実際に落語会に足を運んで頂き、それを演者の生業につなげようかと。もちろん、ネットの配信だけで収益を上げている演者も一部いらっしゃる。だが大多数はそこだけで稼げるようにはなっていないし、それはホントの落語を伝えきっていないと。舞台で行ってる芸を、そのままネット配信しても、新たな価値(3,000円を対価としたネット配信での落語)は生まれていないのではないかと、皆、うすうす感じている。無料で配信しているものに3,000円を払って見に来るお客様を満足させる「コロナ前提の、生業として成り立つネット配信落語会の内容」を考える。先の会議にヒントを得ようと思うが、なかなかいいアイデアが思いつかない。落語でなくなるのか、落語がなくなるのか。そこまで考えなければならないのかという恐怖が襲っている。

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