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新・落語スズメvol.28

『令和2年。』
文/松田 一成

忘年会のお誘いも今年は諦めたところで、なんだかなと、心安き友人を呼びだして二人、居酒屋へ。普段は大勢の酔客で盛り上がる店も、若い人がチラホラ。顔なじみの店主に声をかけると「今日は多い方」だそうだ。悟りを開いたようなその表情に、アタシ達は苦笑いで返しながら、情報交換会という名目でささやかな応援をさせて頂いた。店を構えている商売でさえこんなふう、いつまで続くとも知れないこの状況に、件の噺家達はいかに毎日を送っているのだろう。定席と呼ばれる寄席は普段通りの営業を続けている。満員は笑いにつながる一番の条件だというのに、一つずらしで席が空いた中、マスク越しではお客さんが固くなる。笑わなくなる。緊張感が伝わってくるという。『寄席も再開したけど、前から2列目くらいまではお客を入れない。あたしたちが唾(つば)を飛ばすからね。これを『飛沫の刃』と言う。』掛け声は遠慮してくださいとお願いしている。出待ち、差し入れ、楽屋への訪問もご遠慮下さい。お客様の方が一枚上手。『宝塚じゃあるまいし、噺家の出待ちなんて居やしねえ』と。『噺家は世情のアラで飯を食い』今年はその『アラ』が少し大きすぎたようだが、のらりくらり、時代と折り合いをつけている。

今年も一年有難うございました。どうぞ良いお年を!

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