松田 一成
黒鳶色に櫨染の縞、大きな勝ち虫をあしらった柄行きが、色白の肌に緊張感をもって高座へと送り出す。結界を張った表情は、ちょっとだけ口元を引き締めたように見えた。『快楽亭ブラック毒演会』梅雨空のご機嫌を伺いながら日曜昼席となった。『二代快楽亭ブラック』、談志師に入門後、芸歴40年を超えるが、今は故あって立川流を自主退会。日本人と白人のハーフ。聖域なき表現者あるいは性癖多き具現者か。落語界の異端、芸人の生き様。どこまで書いていいのやら。会場はブラック師が福岡で会をやるならここしかないでしょう、親富孝通り天神シネマ近く『あんみつ姫シアター』。100人超の定員が満席。舞台袖近く迄の客入り。恐いもの見たさ、初物好きの天神っ子の心意気、美しい女性の姿もちらほら。みっちりブラック節を唸った後、本寸法『英国密航』。若き日の長州の侍達を描いた、平成12年第55回文化庁芸術祭優秀賞に輝く珠玉の一席。佐幕だ、尊王攘夷だとゆれ動く幕末期、いずれ戦うことになるだろうという英国に、長州藩の特命を帯び、井上聞多、山尾庸三、野村弥吉、遠藤謹助は密航を企てる。とりあえず江戸に行ってみたものの、イギリスをキリギリスと勘違いする始末。仕方なく新知識の持ち主と噂される足軽身分の伊藤俊輔(後の伊藤博文)を尋ねるが、自分も連れて行けば英国へのツテを紹介していいと。多少こころもとないやり取りの後、マジソン商会ガールさんとその奥方の機転もあり見事英国に渡ることとなる。晴れて渡航に成功した一行五人は霧の都ロンドン、蝙蝠傘をもって橋の上で感慨に浸っている。そこにテロリストと勘違いしたスコットヤードがなだれ込んできて「フー・アー・ユウー?」「問われて名乗るもおこがましいが、生まれは長州山口在、異人を見れば斬口刹鬼と、尊王攘夷の旗印、しばらく巻いて船に乗り…」ご存知白波五人男に例えたのである。お見事。もとは講釈、浪曲ネタだったそうだが、そこを師が落語に発展させた噺。拍手なりやまず。続けて珍品『紀州飛脚』カケません(笑)。仲入り後『道具屋・松竹篇』荒川区三河島のボロアパートで暮らす親子三人の物語『名字無き子』のあんこ入り。カケません(笑)。ヴィトン柄の手拭がチャーミングでした。是非定例会にして下さい。
追伸
第47回オトナ寄席!7月23日
『立川生志』! 今回ネタおろし!
午後7時より。
琥珀亭 0942・38・0570
是非!
ホームページチェック!
http://www.kumin.ne.jp/cofacoo/
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