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新・落語スズメvol.22

『野暮を承知で』

文/松田 一成

遅まきながらスマートフォンを手に入れ、LINEに始まって、YouTubeだの、Twitter、はてはインスタグラムと、一通り、この一月ばかり、モニターの中の悦楽(にっかつオマージュ)に浸っている。素直に、早く持てばよかったと思う。生活を、ダイタイの記憶で送っているせいか、すぐに知りたい、すぐに正解が分かるというのは、まことに気分がいい。正義を貫いている感がある。どうでもいい曖昧な記憶を糾弾され(ゾウリムシをワラジムシというような)、『嘘つき』と罵られる前に、ネットを利用することで、キチンと確かめ、正確に伝えることができる今、以前よりいささか間違いのない人生、もっというなら正々堂々と生活を送っている。という錯覚に気づいた。モニターの中に、『自分こそが正義でござい』と主張する人があまりに多いのだ。複雑なものをシンプルに見せる仕掛けで、考えることを奪い、白黒の判断を要求する輩の狡猾さ。ついその口車に乗ってしまうアタシ。昔の名人の落語を立て続けに見ていたら、移るサイト、移るサイトに、その噺家関連の音源や本、はてはその噺家の住んでいた地域のマンション物件案内までついてくる。今まで知らなかった情報が大量に、短時間に投入され、マニアなアタシは、もうちょっとでその噺家原理主義に嵌められるところであった(嵌められてもいいのだけれど)。おっと危ない、その原理主義にはお金がいるのよ。間違いない人生だとささやいているのは、アタシの正義のためでなく、お金を出す人の正義。ああ、スマートフォンは露骨すぎる。すっかりはまった悦楽の代償はいつ払うのでしょうか(いや、もう払ってる(笑))

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