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[これが自分スタイル]好きならつくり続ければいいいつかその時代が来るさ

株式会社添島勲商店
インテリア部
課長 石橋 直樹さん(いしばし なおき さん)
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【PROFILE】38歳。1971年生まれ。大川市出身・在住。同社に入社して十五年。福岡県無形文化財技術保持者のシツエさんを祖母に持ち、製造者の勝義さんを父親に持つ。い草と関わって三代目となる。2008年にはデザインディレクターとし
て『グッドデザイン賞』を受賞。他にも『福岡産業デザイン賞奨励賞』など数々の受賞作品を生み出す。

[これが自分スタイル]
好きならつくり続ければいい
いつかその時代が来るさ

 筑後地方の豊かな自然の中で、い草が栽培・生産され続けて約四百年。時代は代わっても今も人々の生活に寄り添い愛されているい草。吸放出性があるため、機密性が高い現在の生活環境の中に取り入れると空気の浄化になり、湿度の調整、抗菌性、また、香りの癒し効果もある。
デザインを施したさまざまない草商品を開発し、私達の生活の中に届けている株式会社添島勲商店。インテリア部、課長の石橋直樹さんは、い草の魅力をこう話す。
 「い草は刈り取った後、泥染めをして乾燥させる。つまり、香りは草と土の交じり合った自然の香りなんです。落ち着きと郷愁を感じさせる部分があるでしょう。四百年以上続いたい草文化は、古くさいのではなくて、それなりにわけがあるのです」
い草商品といえば、昔から畳、花茣蓙などの敷物が有名。添島勲商店では近年、ランチョンマットやトイレットペーパーホルダー、ノートカバーなど意表を突いた身近な生活用品、和という概念を超えた大胆な色やデザインのラグなどにもチャレンジしている。普段は部屋の脇役のゴミ箱も、い草でカバーリングされただけで違った顔を見せる。
 そうした商品の企画、デザインから営業までを担当しているのが石橋さんだ。デザイナーとのコラボレーションで生まれた商品もあれば、自社でデザインした商品もある。
 「日用品をい草でカバーリングするだけでも雰囲気が変わります。完成品が横行している時代、ひと手間加えることは大切なこと。そのひと手間に癒しが存在するんです。
好きなパターン(模様)、特徴的な商品にチャレンジしています。それを見てニコリと微笑んだりカッコイイと思ってもらえるような商品、何より自分の好きなものをつくり続けたい。いつかその時代が来るさという気持ちでね」
 そう話す石橋さんの傍らに飾られているのは、い草のアートボード。ラグとお揃いのデザインで、伝統的なエッセンスを残しつつ斬新で気品のある黒の大きな花模様だ。ヨーロッパのデザインでもあるペーズリーにヒントを得たという。この商品で、大阪デザインセンター十九年度グッドデザイン選定などの受賞もしている。
 「ラグとお揃いだと部屋に統一感が出ていいでしょ。い草のアートボードは、モダンな柄でも和室に飾ると重みがでてきます。洋間に飾っても素材が訴えかける和がありますね。い草という素材は他の織物とは違って凹凸感ができ、陰影がつくので模様を強調させるんです。昔は模様を純粋に織り上げるだけでしたが、今は織りの構成によって模様を出す、その変化がおもしろいんです。このデザインでこのやり方であればこの織り方がいい……などと考えますね」
時代を追いかけ伝統を守る
その両方に
い草文化が存在する
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 二〇〇八年グッドデザイン賞を受賞したのは、ビビットカラーに織り上げたい草をフレームに張り付けた『い草シリーズ チェア、ローテーブル』。色はイタリアのブランド、ミッソーニを意識したそうだ。
 数々の商品のデザインや色の発想、時代の傾向のキャッチ、それらは主に海外での展示会で受ける刺激からヒントを得るという。同時にそこで、時代に活かし続ける大切さをも確信する。
 「海外のものを見て、もっと広いことがやれるのではないかなと思ったんです。大胆な模様、モダンな色づかい……。しかしそれでいて、展示場のメインには伝統的なものが展示されていました。流行を追いかけ過ぎてもいけない。新しいものをやっているように見えて、それは伝統を長く続けようと思っているということなんです。時代によって素材の使われ方やスタイルが変わってくるのは当然。しかし、ベースは伝統的なものです。若い世代にはかえってい草は新しい素材として新鮮に映るでしょう。どういうものが受け入れられるのか研究しながら、数十年後も存在するようなものづくりをしたい」
 千六百年の畳文化を持つ日本だが、今では店頭に並ぶい草商品の八割以上が輸入品。地元い草製造者も年齢が五十~六十歳。後継者問題も深刻だ。
 「輸入品は大量生産されたものですが、うちは地元で生産され地元で一つ一つ丁寧に織られたもの、それだけで勝負しています。い草文化を守り伝え続ける使命があると感じています。素材の本質を活かした良い商品をつくり続け、ゆっくりした商売をやっていきたいと思います」
 変化していく時代、普遍的ない草の伝統。石橋さんはそれらを融合させながら、自然が生み出すゆっくりした時間、心の和みをい草の香りにのせて、気ぜわしい現代に届けてくれている。※商品は直営店『有限会社いぐさブティック草』にて販売/TEL 0944-87-7432
文/森 志穂
写真/中野直美

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