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新・落語スズメvol.16

『暮れの話』
文/松田 一成

酔い覚ましに外に出ると、空気がパリッとして、少し寒すぎはしませんかという頃の話。平成15年の暮れ、夕食を済ませた頃電話があり、太地喜和子似の後輩がやっている小料理屋に呼び出された。堅気には見えない、どうも噺家風情の方がいらっしゃって、とっさにアタシの事を思い出したらしい。当時アタシはコミュニティFMで番組をやっていた事もあり、欲目半分、既に酔っぱらってはいたが、ままよと成り行きにまかせることにした。店につくと、カウンターに一人、ベージュ色のタートルネックセーターを着た、キレイに刈り上げた短髪頭の初老の男性が飲んでいた。その時が、人生の岐路だと気が付いたのは、随分後だ。それはそれは楽しい時間が過ぎて、興奮していたように思う。そんなアタシを見て、件の噺家は、「あんちゃん、そんなに落語が好きなら、自分で会をおやりなさい。九州での仕事の時は連絡するから」と悪魔の囁き。酒の場のリップサービスだと自分に言い聞かせながら、暮れにいい夢を見せてもらったと、その晩はなかなか寝付けなかったように覚えている。それから令和になった今まで、続いている会、一回だけの会、なんと、会に来て下さっていたお客様が自分でと始めた会。ネタ帳を繰っていたら、優に200回を越えていた。知り合った頃は『二つ目』(江戸落語の位)だった噺家が『真打』に昇進され、最近はお弟子さんまで出来た。まるで人生。落語が縁で随分と楽しい思いをさせてもらっている。最近は歳をとって横着も覚えたが、開演前には緊張するし、会が終わっての打ち上げは何より楽しみだ。そんなきっかけとなった噺家の新しい会が今日ある。道具を車に積み込もうと外に出たら、空気がパリッとしていて、思わず息を飲呑んだら、そんなことを思い出した。皆さま、今年もありがとうございました。どこかの会で見掛けましたら、気安くお声掛けください。楽しみの多少のお福分けが出来ればと思います。よいお年を!
1月4日シティプラザ久留米座、午後2時30分開演「笑福亭風喬独演会」。ゲストはなんと!上方落語協会会長「笑福亭仁智」。前売り2500円、当日3000円。当日「くるめすたいるで見た」とおしゃっていただければ前売り代金でご入場いただけます!

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