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新・落語スズメvol.9

「裏長屋騒動記(ネタバレあり)」
文/松田 一成

「(五代目)小さん師匠から、新作落語の依頼を受けたときは夢かと思うほど嬉しかった」とインタビューに答えたこともある落語好きの山田洋次監督が、その落語の世界を芝居にしたというお話。案内には監督自身の言葉で「今回初めて、前進座と一緒に舞台を創ることになりました。落語の「らくだ」と「井戸の茶碗」をもとに、ある裏長屋で起こる騒動のお話です。〜どうぞ、ご見物の時には、舞台の俳優さんと同じ空間で、笑いや喜びを共有して、にぎやかに大声で笑いながらお楽しみください」。アタシにとって前進座といえば、女優も出演する歌舞伎くらいしかイメージのなかった劇団。その芝居に落語の主人公、嫌われ者の『馬』と正直だけが取り柄の『清兵衛』を、どう見せてくれるのかと楽しみに劇場へ向かう。あらすじは人情噺「井戸の茶碗」が縦糸となり、『清兵衛(劇中では久六)』を中心に浪人の娘『お文』と若侍『高木作左衛門』の恋模様を描いた爽やかな時代劇。落語の中では河豚に当たってすぐに死んでしまう『馬』も、芝居のなかでは意外と長生き(笑)。死人となった後も見事な踊りを(DA PUMP、U.S.Aのノリで)披露のサービスぶり。落語として頭の中で想像する世界が、目の前で軽快に繰り広げられ、違和感のあった場面転換も、気づけば芝居の間として楽しめる仕掛け。いよいよ、長唄に編曲された「寅さんのテーマ」が流れると、大向こうから「豊島屋!」の声も掛かり、山田監督「してやったり」の表情が思い浮かぶ。カーテンコールに並んだ役者さんの表情を思い出しながら、日本人の心情的大団円を素直に楽しんだ芝居見物でありました。

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