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2015-03

久留米文学散歩 vol.27

漱石の草枕と筑後川①
文/増原 達也

漱石が久留米に目的をもって来たのは2度のようです。「草枕」の下地になった際の明治30年3月27日と現在の明善校の英語教科の程度を文部省の委託で調査に来久した時です。彼は北九州や大分の方を旅行する際には久留米が通過地点になっています。
その「草枕」の土台と言われている旅行は狩野亨吉が漱石に「菅虎雄の病気の問合せ」をした事に依るものです。亨吉の手紙は遺っていませんが、明治30年3月1日に漱石が亨吉にあてた手紙は遺っています。少し長くなりますが虎雄のことについて書かれていますので、記載しますと、
「…菅氏病気に付き御問合せ相成候処同人病気は別段学校の職務上の心配或は宴会杯の過飲より生じ候ものとは存じ不申病気になる程暴飲したり心配するはよほどの大事件に御座候。左様の事発生する前に菅の事なれば辞職致して居る筈に御座候此回の病気は全く夫等に関係なきものと小生は愚考致候。尤も一時は少し喀血致し医師の診断にて二週間程転地療法致し候其当時は元気も少々衰え候様子に御座候処昨今は如旧活発に精勤被居候間御安意可被下又在京諸共へも右よろしく御伝声の程希望仕候尤も病気が病気に候へば油断は頗る危険と存候猶今後の模様により御報道可申上候…」
早い話、菅虎雄の病気は大事無いと報告しているのです。処が漱石自身は狩野亨吉からの手紙が来る前には暫く虎雄には会って居なかったようです。事実虎雄とは連絡が取れ難くなっていたようです。この狩野亨吉は東京大学の教学科卒業、私の記憶の中では哲学科の卒業の資格も習得していたと云われています。経歴にしても各国立大学の学長を務めています。只女性関係は活発だったようで、金銭には常に不自由だった風で、その不足分を虎雄から借用していたと伝えられています。狩野と名字が付いていますので、最初は京都出身かと思って居ましたが、秋田の方の出身で士族(それも可成り高禄)であった事は間違いないようです。

くるめ食素材探検 番外編

菜花(なばな)編「春を呼ぶ、心地よいほろ苦さ」

久留米には、筑後平野という豊饒な自然の恵をもたらす自然があります。ここで育まれるものはたくさんあります。この季節、春の訪れを感じさせてくれるのが「菜花(なばな)」です。筑後川沿い堤防沿いには2月から3月にかけて菜の花ロードができますね。「菜の花の 遥かに黄なり 筑後川(漱石)」と読まれたほどその昔から筑後川の土手には菜の花が咲いていたんでしょうね。
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菜花は「アブラナ科」の野菜の総称ですが、一般的にはアブラナ、セイヨウアブラナをいうようです。他にもチンゲンサイ、小松菜なども菜花として食べるようです。栄養価としてはβ-カロテンを豊富に含み、カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・鉄などミネラル、ビタミンも豊富な緑黄色野菜です。

菜花は筑後地方独自の食材ではありませんが、全国でも色々な食べ方があるようです。一般的には「おひたし」が簡単で、みずみずしい緑色を楽しむことができます。茹で方のコツは「摘みたての菜花を煮立ったお湯に根元を約7秒程先に浸し、ひっくり返し、つぼみのほうをサッと茹でる。水に冷まし手早く上げるのがシャキシャキとした食感の菜花のおひたしが出来ますよ」とは、宮ノ陣在住の84歳になるS夫人のアドバイス。S夫人はこの季節になると自ら筑後川や宝満川沿いの菜の花の柔らかいところを摘んで、湯通しし、すり胡麻をふりかけたものをこの時期、我が家にいただきます。目にも美しい菜花は少しの醤油とわさびを添えていただきます。少しの苦味とシャキシャキ感が春が来ていることを感じさせる旬の素材です。
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筑後川一面に咲き誇る菜の花、久留米の宝物をちょっぴり寒いこの時期に土手の菜の花摘みに行きませんか!(車があまり通らないところがいいですよ!)

くるめすたいる編集部 筒井博文

香茶店“香り不思議発見” Vol. 53

「・・・くれなゐ蕾 匂いこぼるる」 若山牧水
香star 天年堂  稲生宗司
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瑞香(ロイシャン)睡香(ショイシャン)千里香(チェンリーシャン)という名は何?
“沈丁花”という花のこと。なぜ、そう呼ぶの?香木の“沈香”・生薬で香辛料の“丁子”の様な香りってこと。沈香は落ち着き幽玄で上品な甘い香り。丁子は酸味や辛さのある香り。
花言葉がこれ。栄光 不死 不滅 永遠 歓楽・・・永久であれってことかこの香り。死後腐臭がなかった牧水は、好きな“沈丁花”のお蔭かな。春・・・楽しみはこれからだ。“沈丁花”には神話がある。沈丁花の学名はダフネ。キューピットに矢を射られ、神のアポロンが恋をしたのがダフネ。逃げるダフネが変化したのが月桂冠。勝利はダフネ・・・だって栄光と勝利のシンボル。勝利は“沈丁花”の香り。裏にあるのは、“沈香”と“丁子”。やはり“お香”が忍び歩く。さすがに香りは“煙に巻く”ってことか。

むすんで、ひらいて!! vol.11

「子どものことばの発達」
一般財団法人田中教育研究所
幼児心理カウンセラー  野田 鏡子

最近、カウンセリングに来られる方の悩みで特に多いのが「2才過ぎても言葉が出ない」「こちらが言っていることが理解できない」「名前を呼んでも振り向かない」。
面談をしてみると・表情が乏しい・人の存在をほとんど意識していない・視線が合いづらい。一見、自閉症の子どもに似ていますが、自閉症とは動作が微妙に違います。
ことばの発達の目安は、生後2か月頃から10か月頃まで喃語、初期は「アー」「ウー」。wakaba3.jpg
次に、反復喃語で「ままま・・・」「だだだ・・・」と同じ音が繰り返され、後期になると「アブー」など異なった音が混ざるようになります。
1才半頃まで一語発話「ワンワン」「パパ」「ママ」等、1才半以降になると二語文・多語文へと変化していき「これ何?」「あれ何?」、3才頃には「なぜ?」「どうして?」と文法の理解も芽生えてきます。
2~3才でことばが出ていない場合の私の指導方法を紹介します。まず子どもが興味を示す遊びやおもちゃに同じ視線でひたすらついていきます。
子どもがこう思っているだろうと思うことを察して一つ一つことばに出します。例えば、ミニカーを持てば「ブーブーだね」「車、ブーと走るねー」と、初めは一方通行で聞いているのかいないのかわからないようですが、ずーっと話しかけるのです。すると徐々にこちらが言うのを待つようになります。
子どもの心の中に入り少しずつ引き出すという方法です。私の所では週に1回50分間の指導ですが、2ヶ月でかなり変化が見られます。その後は、喜ばせたり、ちょっと意地悪をしてみたり遊びの中から心を育てていきます。
ことばは感情・心が育って初めて出てきます。子どもとしっかり向き合って話しかけると嘘のようにスーッと成長の波に乗ることがあります。この方法は先天的な障がいを持つ子にも非常に有効です。
気になる方は一度ご相談下さい。

コーヒー産地を訪ねて…一枚の写真 vol.70

“2015 グアテマラの買い付け”
写真と文  安達  和宏
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先月に引き続き、今月もグアテマラ買い付けの一コマです。毎年、訪問するグアテマラでも既存の農園だけではなく新らたに買い付ける農園もあります。ここはコバン地区サン パブロ タマウにあるバケリート農園です。雨の多いこの地域は収穫してから生産処理、そして乾燥という通常の作業がとても難しい農園です。特に乾燥は他の地域より時間を掛け、ゆっくりとゆっくりと作業は進められていきます。この写真は最近他の地域でも多くなったグリーンハウス(ビニールハウスの乾燥小屋)の内部です。棚にはパティオ(外)で仮干しされたパーチメントが雨や湿度の影響なく乾燥できるのです。そのノウハウは長年の経験と検証で蓄積され、より良きコーヒー作りに活かされていくんですね。まだ先ですが入荷が楽しみです!!

むすんで、ひらいて!! vol.10

④知的能力はいつから育つの?
一般財団法人田中教育研究所
幼児心理カウンセラー  野田 鏡子

「おみくじ?」「なめくじ!」
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「先生 お正月に天満宮に行ったんだ。なめくじもらったよ。」
「??」
「お金入れたらなめくじが出てくるんだよ。」
「へぇーそう、、、それもしかして、おみくじじゃないの?」
「?、、、また行くんだー。」
今年も仕事初日からこんな会話で始まり大笑いです。「おみくじ」と「なめくじ」そう言えば似てますよね。子どもって本当におもしろい、かわいいですね。さて、子どもの頭の中っていつから育つのでしょう。
生後間もない赤ちゃんは一点を眺めるにとどまっていますが、急速に成長しそのものの輪郭をたどるようになり又、見るものに好みもでてきます。さらに、より人の顔に近いものに関心を持ちはじめ、特に目を見ます。
よく電車の中などでじっと見る赤ちゃんを見かけますよね。そして笑いかけると笑いかえす等、これは認識の始まりで知的能力の第一歩です。さわる、口にふくむ、これは心的表象(心の中でのイメージ)の土台となるもので、さらに歩くことによって世界は広がり経験の深まりが増します。

知的好奇心の深まりは2・3歳から

1~2歳になると母親のやった事を後で真似をする、携帯を持って耳にあて何か声を出し話しているような真似をする。又、小さい箱を車に見立て「ブーブー」と言ったりしますよね。これは心的表象の始まりです。2・3歳位になれば言葉の獲得によってさらに深まりを広げます。
「あれ何?」「どうして?」は、好奇心のほとばしりであるし、言葉を介して大人からの答えにより子どもは知識を得、その好奇心が満たされます。この時期の好奇心は十分に満たしてあげる必要があり知的能力の土台となります。このように生まれて間もなくから知的能力の発達は始まっているのです。子どもが何を見ているのか聞いているのか意識して育てるととても楽しいものですよ。

久留米文学散歩 vol.26

檀一雄編⑫
文/増原 達也

世に医食同源、菜食同源と云う言葉があり、料理は、これが基本になり三食は成り立っているそうです。これを生活の上で三食に気を使って守ってゆく事は大変です。そしてこれを厳格に料理に活かす事は、尚難しいでしょう。只、一般の主婦はある程度これを何となく念頭に置いて日々の食事を準備、その上で家庭の味を出しているものと思われます。その味ですが、20年も30年も続けると女房の味にならされてしまします。だから料理店に行っても、帰れば自宅の「茶漬け」を一杯流しこむと云う事になるようです。ここ迄来れば夫婦も長続きするのですが、外食を常としている男は、浮気率も高いと云われています。そこにヨソ子さんは気が付いていませんでした。自分の料理、亦は壇家の味を作る事を彼女は忘れていた向きがあります。この隙間に矢島恵子が入り込んだのです。もう1ツ悪い事には檀一雄の料理の腕は玄人並であったと伝えられていますので、新婚時代からヨソ子は料理に関しては一歩引いた型にもなっていた事は事実です。これでは男の舌は外に向きます。そして最近の著書に依ると栄養バランスが悪いと「性格」まで変わると云う結果もあるそうです。何でも性格が変わる前に躯が弱るのは事実のようです。弱るのは味に馴れないからで。量も少なくなりその結果、躯が弱ると云う事だろうと思います。そしてそれを酒で紛らすと躯は増々弱り、病気が出て当然です。これには時間が掛かっています。一雄は60歳前から肝臓障害で病院や断食道場等に通い、61歳で肝硬変と診断され、みるみる体力が弱り、62歳で能古島に移居、併しこの頃すでに悪性の肺腫瘍とも診断されています。昭和57年1月2日に九大病院呼吸器科で永眠します。これの一回目に書いた「虎落笛 いく夜虎落らせ 花に逢わん」が辞世の句となるのですが、この句を実母トミ、ヨソ子そして恵子共に、自分への句と思っている節があります。 …終…
次号より漱石編「漱石の草枕と筑後川」を掲載

コーヒー産地を訪ねて…一枚の写真 vol.69

“2015 グアテマラの買い付け”
写真と文  安達  和宏

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2015年、今年も中米の買付シーズンに入りました。毎年訪れているグアテマラのこのホテルも相変わらず、ゆったりとした空気感がいい感じです。空いた時間にこのコラムの原稿書き作業をしているのですが、スローモーにも見える人の動きもここでは当たり前の光景として映ります。さて、明日は早朝からウエウエテナンゴという地域に車で7時間の移動です。早めに夕食を済ませて、これから始まる買い付けの旅に備えます。

くるめ食素材探検 vol.17

しいたけ編  『「どんこ」の魅力』
文/靏久 格(産直や 蔵肆)

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原木栽培と菌床栽培でここまで味が違うのか!という椎茸。八女や星野、うきはの山間部では沢山栽培されています。ドライブ中、木立のなかにおいてある原木をお見かけのかたも多いのではないでしょうか?
原木栽培のしいたけ、くぬぎの木を育てることからはじまります。ちょうどよい太さに育ったら伐採、ちょうど今時期くらいから「こま」と呼ばれる菌を打ち込んで二夏寝かせます。つまり再来年の秋から収穫です。
ほだ木の大きさもよりますが、一本のほだ木に対して、縦に2〜6列、横に5〜6列、およそ15〜35個のこまが埋め込まれます。昭和20年代後半に、この種駒を使った栽培が確立されるまでは、鉈やよぎ(まさかり)を使って切り倒した木に鉈で傷をつけ自然界にある椎茸菌を繁殖させる「なため栽培」が主流だったそうです。
この時期店頭に並ぶのは、冬に収穫される「どんこ」 寒さでじっくり成長した厚みのある原木栽培のものが手に入ったら、網などでじっくり焼いて、お醤油をちらっとたらして。くれぐれもヒダの方を上に!一ヶ月ほどで成長、収穫できる菌床栽培とは味、食感がまったく違います。ぜひ一度お試しください。
しいたけに含まれるビタミンDは、不足しがちなカルシウムの吸収を良くする働きがあります。「骨粗しょう症」などが増加している現在、カルシウムとセットでビタミンDを摂りましょう。kurasi11.jpg
というわけで、お味噌汁のだしは、ぜひ乾燥しいたけと煮干で!旨みもばっちりです。ある情報テレビ番組では、日光に30分〜1時間当てることで、ビタミンDは10倍になると紹介されていました。日光に当てる場合は、ヒダの方を上に向けるのがポイントです。機械乾燥のものを、使う前にちょっと天日にあてるだけで十分ビタミンDが増えるそう。ほかにも免疫力UPや血圧効果作用、悪玉コレステロールを減少させ、動脈硬化予防などもあるそうです。
筑後市の「陽より子」さんは椎茸専門店。椎茸原木のオーナー制度や、収穫体験も可能です。

香茶店“香り不思議発見” Vol.52

「立春…春の始まり」
香star 天年堂  稲生宗司

tennnenndou2.jpg 節分が終わり、無事に“鬼退治”終了。
目出度く、「立春」となります。
早朝(立春)、禅寺では“厄除け”のために
「立春大吉」と書いた紙を貼ります。
“左右対称”のこの文字は、一年間の“無病息災”を
願ってのおまじない。(裏から見ても)
onimamemaki.jpg鬼(災難)が振り返っても、「立春大吉」(裏)
とあり出ていってしまう。
“鬼退散”後、いいお香を焚き“厄払い”しましょう。

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