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くるめ食素材探検 Archive

くるめ食素材探検 vol.85

あんたっさい、知っとるね ? 「ターサイ」編

文/靏久 格(産直や 蔵肆)

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ターサイは、中国発祥のお野菜です。白菜やちんげんさいの仲間で、地面を這うように広がって成長するところから「押しつぶされた」という意味をもつ「搨」の字をあてられ、搨菜(ターサイ)なんだそうです。日本では葉の形から杓子菜ともよばれ、明治8年ごろ入って来たようです。もっとも当時は漬物での利用だったようですが、いまは炒め物が主でしょうか。冬場のターサイは寒くなるほどぺたーっと広がって成長し、地面に緑のお皿がおいてあるように見えます。静岡県の浜松は国内生産量の半分を占める大産地。こちらは中国との国交正常化を契機として、中国野菜を育てよう!と農協さんが頑張ったんだとか。

クセがなくほうれん草のように扱いやすい野菜です。アクも少ないため下茹での必要がなく便利につかえます。ターサイにはβカロテンをはじめ、むくみ予防になるカリウムや、カルシウムや鉄分などが豊富です。ビタミン類は油で調理することにより吸収も高まりますので、椎茸、ひき肉と一緒にゴマ油でじゃじゃっと炒め物、いかがでしょうか。タケノコも食感がでておすすめです。厚揚げもボリュームでておいしいですよ。ヘルシーにおひたしにされるときは、濃いめの塩水でゆでられると、下味がひきたちます。

店頭で選ばれるときは、葉の色が濃く鮮やかな緑色をしていて、葉に厚みがあり、葉先までしおれず、シャキッと元気なものを選んでください。保存の際は濡らした新聞紙でくるみ、葉を上に向けて野菜庫で保存を。とはいえ、葉野菜ですので長く置くよりも、塩昆布にすこし追い塩してお漬物にされるとおいしいですよ。

くるめ食素材探検 vol.84

いまさらですが、「にんじん」編 いっぽんでもにーんじん202010-ninjin1.jpg

文/靏久 格(産直や 蔵肆)

だいたい一年中いつでもどのスーパーにでも並んでいるにんじん。和洋中、また季節を問わず普段からよく使う食材の一つです。ですが秋から冬にかけての物が甘味や栄養成分から見ると最もおいしい時期、旬だなあと感じます。人類とのお付き合いも長く、最古の料理本といわれるアピシウスにも食材として出てまいります。

原産地はアフガニスタン、そこからヨーロッパに伝わった西洋系と、中国などアジアに伝わった東洋系の二種類に大別されます。スーパーで見かけるのはほぼ西洋系の五寸人参。東洋系で代表的なのはお正月に欠かせない金時人参です。ほかにも沖縄でよく作られている黄色い島ニンジンや、紫や黒なんてものも。

栄養成分はなんといってもβ-カロテンが豊富です。カロテンはニンジンの英名carotに由来するように、ニンジンのカロテン含量はずば抜けており、体内に入ると小腸で分解されビタミンAになります。動物性のビタミンAと違い、必要以上にビタミンAに変換されないのも強みですね。他にも食物繊維やビタミン類、鉄、カリウム、カルシウムなども豊富です。

実は人参の皮はとても薄く、出荷段階で洗うことによりほとんどむけてしまっています。ので、汚れを落としたらそのままどうぞ。えー、ニンジンって皮が固いじゃない?という方、申し上げにくいんですが、乾燥して表面が固くなってしまっているんです。根ものなので、ついつい買い置きしちゃいますが、しわがれる前にお使いください。店頭で選ばれるときは、さきっちょが丸みを帯びているものを選ぶと良いでしょう。新鮮な葉付きニンジンが手に入った時は、ぜひ葉かき揚げやおひたし、ごまあえなどでご利用ください。

くるめ食素材探検 vol.83

隠元和尚が持ち込んだのでインゲン豆。「さやいんげん」編202009-ingen.jpg

文/靏久 格(産直や 蔵肆)

いんげん豆、とひとくくりにしておりますが、大きく分けて二種類。主に乾燥させてさやをはずし豆を食べる品種と、若いうちに収穫、まるごといただく品種とございます。今回ご紹介するのは後者のさやごと調理する「さやいんげん」

いんげんといえば、固い筋があり茹でてもこの筋が口に残るので、筋をとる下ごしらえが必要、ちょっと調理にひと手間かかるのよねー、という存在でした。が、イマドキは品種改良が進み、ほとんど筋は取らなくても気にならない位になっています。名前のとおり、日本に持ち込まれたのは16世紀、黄檗宗の開祖隠元和尚が中国から持ち込んで各地に広がりました。

どじょういんげん、サーベルいんげん、ひらさやインゲン、ひらべったいモロッコいんげんや、長さ60㎝にもなるささげ、などさまざまな種類があります。紫や黄色い海外の品種も。一年に三度収穫できることから「さんどまめ」と呼ぶ地域もあるさやいんげん、カロチンやビタミンC、カルシウム、食物繊維が豊富です。

いまいち地味な存在ではありますが、つけあわせには欠かせない存在です。くるみやゴマなどナッツ系とあえたり、色味が欲しい時はパプリカやニンジンとあえてサラダに。ほかにも煮物、お浸し、天ぷらなどオールマイティに活躍してくれます。

一時に食べきれないときは、生のまま冷凍庫へ。使うときは凍ったまま沸騰したお湯に入れ、好みの固さにゆでてください。電子レンジですと青臭みが残ることもありますのでご注意を。

くるめ食素材探検 vol.82

「冬の瓜」と書いてとうがん。
様々な食材をどっしりとささえてくれます。 「冬瓜」編
文/靏久 格(産直や 蔵肆)

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立てて保存すると冬まで持つ、といわれたところから冬瓜の名前がつきました。名前の通りウリ科の植物です。品種もいろいろありまして、ミニ冬瓜のように2キロ前後のものから、ナガトウガンなど大きくなると10キロ超えのものまで。熟すと真っ白に粉を吹く品種と、緑のままつやつやの品種とありますが、持った時に重量感のあるものがおすすめです。カットされたものを買われる場合はしっかり種まで詰まっているものを選ばれるといいでしょう。

原産地は熱帯アジアと推定されていますが、日本には平安時代にはいってきて栽培されていたようです。きゅうり同様、水分をおおく含みますが、低カロリーでカリウムを多くふくみますのでダイエット中の方にはありがたい食材ですね。中国では、体温を下げて利尿効果があるとして、薬膳料理でよく使われています。東南アジアでは砂糖漬けにして干したお菓子や、冬瓜茶などもあるようです。

冬瓜自体の味は控えめでクセがないので、皮と種をとって下茹、煮込みや葛あんかけなどでどうぞ。種はスプーンでとるとやりやすいですよ。鶏肉やスペアリブなどと合わせてスープもいいですね。難点はカットしてからはあまり日持ちがしないところ。翌日くらいまでを目安にお召し上がりください。ぴっちりラップで包んでやりますと少しは長持ちします。

くるめ食素材探検 vol.81

世界で一番つくられる野菜です。
品種は8,000種、日本でも120種ほど。 「トマト」編
文/靏久 格(産直や 蔵肆)
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トマトの旬、ってのは結構むずかしくて、いまどき年中出回っておりますし春先や秋口の気候が落ち着いたころのトマトも美味しいのですが、季語でも夏ですし、やはり露地ものが出回り出すこの時期かな、と思いましてご紹介です。

トマトの原産地はメキシコ。ここからスペイン人が持ち帰りヨーロッパ経由で江戸時代に入ってきたのが最初の記録です。おもしろいもんで、だいたいどこの国でもトマトは体をひやす、と言われております。最初に食べた奴は変人扱いなのも共通なのは面白いですな。当時は観賞用だったのが、食文化の西洋化に伴いトマトソースが先に普及、徐々に日本人になじみました。とはいえ、生で食べだしたのは冷蔵庫や流通が発達しだす昭和に入ってのこと。

トマトは動脈硬化の予防が期待できるルチンとビタミンCを多く含み、抗酸化作用はβカロテンに比べて二倍と言われるリコピンも豊富です。柿と同じく「トマトが赤くなった家には胃病なし」「トマトが赤くなると、医者が青くなる」ということわざにも納得ですね。

スペインでは季節の終わりに安くなったトマトを買い込み、一年分のトマトソースを数日かけて家庭でつくるんだそうです。日本の味噌や醤油みたいなもんでしょうか。スペインとトマト、といえば「トマティーナ」というお祭り。町中でトマトを投げあうんだそうですが、一説によると野菜売りのスタンド前での喧嘩でトマトを投げ合った、とか、政治に不満をもつものが議員に向かってトマトを投げつけた、だとか。食べ物を粗末にしちゃいけません!と怒られたもんでどうも抵抗があるんですが、そういえば日本も節分に豆をなげますな。

くるめ食素材探検 vol.80

kurasi.jpg いろんな名前で出ています 「パクチー/コリアンダー」編

文/靏久 格(産直や 蔵肆)

最近では通年で出回るようにもなりましたが、これから花が咲いて実を収穫する時期となりましたのでご紹介。パクチーはずいぶんと市民権を得たように思います。ああ、あれねー、と顔をしかめるかたもいれば、うっとりとパクチーへの愛を語る方まで反応はさまざま。サラダに、スープに、麺類に、肉魚に、と応用範囲が広いのも人気の秘密かもしれません。いろんな呼び名があり、パクチーはタイ語由来。コリアンダーは英語由来、和名は「コエンドロ」そのものずばりの「カメムシソウ」という呼び名も。生食ですと「パクチー」乾燥させた葉や種は「コリアンダー」と呼び分けることが多いようです。

日本には平安時代に薬草として入ってきていたようですが、調理素材として本格的に使われるようになったのは1990年代。ここ数年で一般のスーパーにも出回るようになり、パクチー料理専門店や「追いパクチー」なんて言葉ができるほど。とはいえ香草なので、タイではあんなにパクチーばかりもりもり食べないヨ、だそうです。まあ、なんでもやりすぎ、本歌取りが日本人の身上かもしれません。

カレー粉には欠かせない素材でもあります。だいたいどのカレー粉もターメリックについで二番目にコリアンダーが出てくるのではないでしょうか。生の葉と違い、乾燥させるとほんのり甘くさわやかなオレンジ系の香りがたまりません。カレー粉のミニマル構成はこの二種に加え唐辛子。もちろん、なくてもカレーはできますが、入れると「おお、これこれ」と抜群の安定感。家庭菜園でも育てやすい部類かと思います。深さのある大き目のプランターでどうぞ。

くるめ食素材探検 vol.79

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これっくらいの おべんとうばこに♪

筋の通った「ふき」編

文/靏久 格(産直や 蔵肆)

2月には「ふきのとう」をご紹介しましたが、あれがにゅーっとのびましてこの時期の「ふき」となります。愛知が一大産地ですが、福岡でも遠賀や糸島あたりでハウス栽培が盛んなんだとか。

ふきには蕗、苳、款冬、菜蕗などいろいろな字をあてます。語源には諸説ございまして、中にはおしりを拭く紙の代わりにふきの葉を使用したことから「拭き」を転じて、なんてものも。そういえば今年はトイレットペーパーの入手に苦労した時期もございましたなあ。もっとも、今どきのトイレにフキの葉っぱを流そうとしたらどえらい騒ぎになりそうです。野外でどうしても、というときに限りますな。ちなみに英語圏ではバター・バー(butter bur)と呼びます。これはフキの葉でバターを包み保管していたことに由来するんだそうです。ふいたり包んだり。いろいろと使えますな。

フキには昔から痰を切り、咳を鎮める作用があることが知られておりました。呼吸器系の機能を円滑にして、気管支粘膜の炎症を鎮めて、粘液の分泌を促す働きがあるんだそうです。このご時世、ありがたいですね。

フキは鮮度が命。野生のものはアクが多いですし、収穫とともにアクは増していきます。入手後はできるだけ早く処理したいものです。板ずりをしてあく抜きをして、とひと手間かけてやれば、あっさりと翡翠色に仕上げてよし、しっかりと煮込んできゃらぶきでもよし、と煮物、炒め物にと活躍いたします。

竹の子のように、ゆでてから水を変えつつ冷蔵すれば一週間、水気をきって冷凍でしたら一か月近くもちますよ。とはいえ、冷凍は繊維感を感じると思います。おすすめは伽羅蕗に仕立てての冷凍。フキの葉も、細かく刻んで水さらしの後に佃煮でいただけますよ。もし手に入った時はお試しください。

くるめ食素材探検 vol.78

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クマもタヌキも食べない臭いアレ「ニラ」編

文/靏久 格(産直や 蔵肆)

餃子のたねやレバニラ炒めなどでおなじみのニラ。ハウス栽培もあり年中流通しているお野菜ですが、旬は春先から夏場にかけて。ちなみに夏の季語に「ニラの花」がございます。とても可憐で線香花火のような花なんですよ。

原産は東南アジア、日本には9世紀ごろ入ってきたようですが、滋養強壮の薬草として利用されていたようです。どれくらい強いかって俗称を起陽草といいまして、男性の精力増進からの命名なんだとか。そういえば、みやぎのニラブランドに「もっこりニラ」という直球なネーミングが。長崎の「ニラめっこ」がかわいく見えますね。

閑話休題、当時はおかゆなどにいれて食していたそう。お野菜として利用するようになったのは明治以降だそうです。

ニラは手間がかかりませんし、ちょっとぐらい日陰でも伸びてきます。また生命力がつよく、根を彫り上げなければ10回程収穫できますし、枯れてしまっても翌年また出てきます。ぜひ家庭菜園などで新鮮な「ニラ」を栽培してみてはいかがでしょうか。プランターでもできますよ。ただ、スイセンの葉(有毒)との誤食がありますので、しっかり離して植えてください。

ニラは鮮度が落ちやすいので、購入後はできるだけ早めに使い切ってください。保存をする場合は、軽く湿らせた新聞紙やキッチンペーパーに包みポリ袋に入れれば、冷蔵庫の野菜室で数日間は保存が可能です。

くるめ食素材探検 vol.77

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早春のほろ苦い味覚「ふきのとう」編

文/靏久 格(産直や 蔵肆)

春の季語にもなっている「ふきのとう」その名前の通り、ふきのとうが咲いたあとは伸びてきて、春から初夏にかけての食材「ふき」となります。どちらも春の季節を表現する、山菜として日本料理には欠かせない食材ですね。

正確にいいますと、地上に出ているのは花芽と葉の部分。茎の部分は地中に伸びています。ふきはその地下茎からでてきた葉の柄の部分なんですね。同じ時期にでてくる土筆を思い浮かべていただければ想像しやすいのではないでしょうか。みょうがと同じく日陰気味で湿気の多い所を好むようです。

ふきのとうは、根本の切り口がすぐに黒く変色してしまいます。これは鮮度が落ちて黒くなっている訳ではなく、様々なポリフェノール類が豊富に含まれているからだと言われています。あの独特の苦みもポリフェノール類に由来します。

主な苦み成分は二種類、アルカノイドは肝機能を強くしてくれて、体の新陳代謝を促進する作用があります。また、ケンフェールは動脈硬化、アレルギー症状などの原因となる活性酸素や発ガン性物質を抑える効果があるんだそうです。「良薬口に苦し」とはよくいったもんですね。

選ぶコツは全体に締まりがあってつぼみがまだ硬く閉じているもの。好みにもよりますが、大きくなり過ぎた物は苦味も強すぎるように思います。大きいのしかなかったなあ、というときは軽くゆでてから水にさらしてアク抜きをするといいのですが、香りも失われてしまうので要注意。また、油で炒めると苦味はかなり少なくなります。フキ味噌なんかにするといいんじゃないでしょうか。

くるめ食素材探検 vol.76

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高良川の河川敷はいまが見ごろ「菜の花」編

文/靏久 格(産直や 蔵肆)

今年はぬっかですねー。雪をみらんまま春になりそうです。ふきのとうやらつくしやら、もうでとるげな。先日、左義長で高良川の河川敷にいきましたら菜の花が咲いて蝶々がとんどりました。 

菜花は、コマツナやハクサイ、チンゲンサイなどのアブラナ科の花の総称です。アブラナ科の野菜は、だいたい若いうちの葉を食べますが、収穫せずにそのまま育てると、菜花となって食用となり、最後は花がさいて種を残します。この種を搾ったのが連載第三回でご紹介した「なたね」油です。

スーパーなどで売られている菜花は、のらぼうな、かきな、ジャバ菜など、茎や葉っぱが柔らかく苦味が少ない品種です。独特のほろ苦さをいかして、生やおひたしでも美味しくいただけますが、豚肉やベーコン、ごまなど、油脂分があって香りの強いものとの相性も抜群です。茎の部分もアスパラみたいで美味しいですよ。

江戸中期に「闍婆(ジャバ)菜」という名で幕府がこの種を配付したことで飢饉から民が救われたとの記録が残っているんだそうです。なんだかすごい名前ですが、インドネシアのジャワを経由してきたオランダ船が持ち込んだとの説が。西洋野菜の多くは明治の開国以後に広まったものが大勢を占めますが、ジャバ菜は開国以前に渡来した不思議な洋菜なのです。寒い中でもよく育ち、肥料をしっかりやると一メートル近くまで育つジャバ菜。葉がしおれやすいので長距離輸送、広域流通には向かない野菜ですが、おみかけの際にはぜひ。

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