Home > くるめ食素材探検

くるめ食素材探検 Archive

くるめ食素材探検 vol.81

世界で一番つくられる野菜です。
品種は8,000種、日本でも120種ほど。 「トマト」編
文/靏久 格(産直や 蔵肆)
tomato202007.jpg
トマトの旬、ってのは結構むずかしくて、いまどき年中出回っておりますし春先や秋口の気候が落ち着いたころのトマトも美味しいのですが、季語でも夏ですし、やはり露地ものが出回り出すこの時期かな、と思いましてご紹介です。

トマトの原産地はメキシコ。ここからスペイン人が持ち帰りヨーロッパ経由で江戸時代に入ってきたのが最初の記録です。おもしろいもんで、だいたいどこの国でもトマトは体をひやす、と言われております。最初に食べた奴は変人扱いなのも共通なのは面白いですな。当時は観賞用だったのが、食文化の西洋化に伴いトマトソースが先に普及、徐々に日本人になじみました。とはいえ、生で食べだしたのは冷蔵庫や流通が発達しだす昭和に入ってのこと。

トマトは動脈硬化の予防が期待できるルチンとビタミンCを多く含み、抗酸化作用はβカロテンに比べて二倍と言われるリコピンも豊富です。柿と同じく「トマトが赤くなった家には胃病なし」「トマトが赤くなると、医者が青くなる」ということわざにも納得ですね。

スペインでは季節の終わりに安くなったトマトを買い込み、一年分のトマトソースを数日かけて家庭でつくるんだそうです。日本の味噌や醤油みたいなもんでしょうか。スペインとトマト、といえば「トマティーナ」というお祭り。町中でトマトを投げあうんだそうですが、一説によると野菜売りのスタンド前での喧嘩でトマトを投げ合った、とか、政治に不満をもつものが議員に向かってトマトを投げつけた、だとか。食べ物を粗末にしちゃいけません!と怒られたもんでどうも抵抗があるんですが、そういえば日本も節分に豆をなげますな。

くるめ食素材探検 vol.80

kurasi.jpg いろんな名前で出ています 「パクチー/コリアンダー」編

文/靏久 格(産直や 蔵肆)

最近では通年で出回るようにもなりましたが、これから花が咲いて実を収穫する時期となりましたのでご紹介。パクチーはずいぶんと市民権を得たように思います。ああ、あれねー、と顔をしかめるかたもいれば、うっとりとパクチーへの愛を語る方まで反応はさまざま。サラダに、スープに、麺類に、肉魚に、と応用範囲が広いのも人気の秘密かもしれません。いろんな呼び名があり、パクチーはタイ語由来。コリアンダーは英語由来、和名は「コエンドロ」そのものずばりの「カメムシソウ」という呼び名も。生食ですと「パクチー」乾燥させた葉や種は「コリアンダー」と呼び分けることが多いようです。

日本には平安時代に薬草として入ってきていたようですが、調理素材として本格的に使われるようになったのは1990年代。ここ数年で一般のスーパーにも出回るようになり、パクチー料理専門店や「追いパクチー」なんて言葉ができるほど。とはいえ香草なので、タイではあんなにパクチーばかりもりもり食べないヨ、だそうです。まあ、なんでもやりすぎ、本歌取りが日本人の身上かもしれません。

カレー粉には欠かせない素材でもあります。だいたいどのカレー粉もターメリックについで二番目にコリアンダーが出てくるのではないでしょうか。生の葉と違い、乾燥させるとほんのり甘くさわやかなオレンジ系の香りがたまりません。カレー粉のミニマル構成はこの二種に加え唐辛子。もちろん、なくてもカレーはできますが、入れると「おお、これこれ」と抜群の安定感。家庭菜園でも育てやすい部類かと思います。深さのある大き目のプランターでどうぞ。

くるめ食素材探検 vol.79

fuki.jpg

これっくらいの おべんとうばこに♪

筋の通った「ふき」編

文/靏久 格(産直や 蔵肆)

2月には「ふきのとう」をご紹介しましたが、あれがにゅーっとのびましてこの時期の「ふき」となります。愛知が一大産地ですが、福岡でも遠賀や糸島あたりでハウス栽培が盛んなんだとか。

ふきには蕗、苳、款冬、菜蕗などいろいろな字をあてます。語源には諸説ございまして、中にはおしりを拭く紙の代わりにふきの葉を使用したことから「拭き」を転じて、なんてものも。そういえば今年はトイレットペーパーの入手に苦労した時期もございましたなあ。もっとも、今どきのトイレにフキの葉っぱを流そうとしたらどえらい騒ぎになりそうです。野外でどうしても、というときに限りますな。ちなみに英語圏ではバター・バー(butter bur)と呼びます。これはフキの葉でバターを包み保管していたことに由来するんだそうです。ふいたり包んだり。いろいろと使えますな。

フキには昔から痰を切り、咳を鎮める作用があることが知られておりました。呼吸器系の機能を円滑にして、気管支粘膜の炎症を鎮めて、粘液の分泌を促す働きがあるんだそうです。このご時世、ありがたいですね。

フキは鮮度が命。野生のものはアクが多いですし、収穫とともにアクは増していきます。入手後はできるだけ早く処理したいものです。板ずりをしてあく抜きをして、とひと手間かけてやれば、あっさりと翡翠色に仕上げてよし、しっかりと煮込んできゃらぶきでもよし、と煮物、炒め物にと活躍いたします。

竹の子のように、ゆでてから水を変えつつ冷蔵すれば一週間、水気をきって冷凍でしたら一か月近くもちますよ。とはいえ、冷凍は繊維感を感じると思います。おすすめは伽羅蕗に仕立てての冷凍。フキの葉も、細かく刻んで水さらしの後に佃煮でいただけますよ。もし手に入った時はお試しください。

くるめ食素材探検 vol.78

nira.jpg

クマもタヌキも食べない臭いアレ「ニラ」編

文/靏久 格(産直や 蔵肆)

餃子のたねやレバニラ炒めなどでおなじみのニラ。ハウス栽培もあり年中流通しているお野菜ですが、旬は春先から夏場にかけて。ちなみに夏の季語に「ニラの花」がございます。とても可憐で線香花火のような花なんですよ。

原産は東南アジア、日本には9世紀ごろ入ってきたようですが、滋養強壮の薬草として利用されていたようです。どれくらい強いかって俗称を起陽草といいまして、男性の精力増進からの命名なんだとか。そういえば、みやぎのニラブランドに「もっこりニラ」という直球なネーミングが。長崎の「ニラめっこ」がかわいく見えますね。

閑話休題、当時はおかゆなどにいれて食していたそう。お野菜として利用するようになったのは明治以降だそうです。

ニラは手間がかかりませんし、ちょっとぐらい日陰でも伸びてきます。また生命力がつよく、根を彫り上げなければ10回程収穫できますし、枯れてしまっても翌年また出てきます。ぜひ家庭菜園などで新鮮な「ニラ」を栽培してみてはいかがでしょうか。プランターでもできますよ。ただ、スイセンの葉(有毒)との誤食がありますので、しっかり離して植えてください。

ニラは鮮度が落ちやすいので、購入後はできるだけ早めに使い切ってください。保存をする場合は、軽く湿らせた新聞紙やキッチンペーパーに包みポリ袋に入れれば、冷蔵庫の野菜室で数日間は保存が可能です。

くるめ食素材探検 vol.77

fukinotou.jpg
早春のほろ苦い味覚「ふきのとう」編

文/靏久 格(産直や 蔵肆)

春の季語にもなっている「ふきのとう」その名前の通り、ふきのとうが咲いたあとは伸びてきて、春から初夏にかけての食材「ふき」となります。どちらも春の季節を表現する、山菜として日本料理には欠かせない食材ですね。

正確にいいますと、地上に出ているのは花芽と葉の部分。茎の部分は地中に伸びています。ふきはその地下茎からでてきた葉の柄の部分なんですね。同じ時期にでてくる土筆を思い浮かべていただければ想像しやすいのではないでしょうか。みょうがと同じく日陰気味で湿気の多い所を好むようです。

ふきのとうは、根本の切り口がすぐに黒く変色してしまいます。これは鮮度が落ちて黒くなっている訳ではなく、様々なポリフェノール類が豊富に含まれているからだと言われています。あの独特の苦みもポリフェノール類に由来します。

主な苦み成分は二種類、アルカノイドは肝機能を強くしてくれて、体の新陳代謝を促進する作用があります。また、ケンフェールは動脈硬化、アレルギー症状などの原因となる活性酸素や発ガン性物質を抑える効果があるんだそうです。「良薬口に苦し」とはよくいったもんですね。

選ぶコツは全体に締まりがあってつぼみがまだ硬く閉じているもの。好みにもよりますが、大きくなり過ぎた物は苦味も強すぎるように思います。大きいのしかなかったなあ、というときは軽くゆでてから水にさらしてアク抜きをするといいのですが、香りも失われてしまうので要注意。また、油で炒めると苦味はかなり少なくなります。フキ味噌なんかにするといいんじゃないでしょうか。

くるめ食素材探検 vol.76

花が咲く前は食べられます。chikugogawa.jpg

高良川の河川敷はいまが見ごろ「菜の花」編

文/靏久 格(産直や 蔵肆)

今年はぬっかですねー。雪をみらんまま春になりそうです。ふきのとうやらつくしやら、もうでとるげな。先日、左義長で高良川の河川敷にいきましたら菜の花が咲いて蝶々がとんどりました。 

菜花は、コマツナやハクサイ、チンゲンサイなどのアブラナ科の花の総称です。アブラナ科の野菜は、だいたい若いうちの葉を食べますが、収穫せずにそのまま育てると、菜花となって食用となり、最後は花がさいて種を残します。この種を搾ったのが連載第三回でご紹介した「なたね」油です。

スーパーなどで売られている菜花は、のらぼうな、かきな、ジャバ菜など、茎や葉っぱが柔らかく苦味が少ない品種です。独特のほろ苦さをいかして、生やおひたしでも美味しくいただけますが、豚肉やベーコン、ごまなど、油脂分があって香りの強いものとの相性も抜群です。茎の部分もアスパラみたいで美味しいですよ。

江戸中期に「闍婆(ジャバ)菜」という名で幕府がこの種を配付したことで飢饉から民が救われたとの記録が残っているんだそうです。なんだかすごい名前ですが、インドネシアのジャワを経由してきたオランダ船が持ち込んだとの説が。西洋野菜の多くは明治の開国以後に広まったものが大勢を占めますが、ジャバ菜は開国以前に渡来した不思議な洋菜なのです。寒い中でもよく育ち、肥料をしっかりやると一メートル近くまで育つジャバ菜。葉がしおれやすいので長距離輸送、広域流通には向かない野菜ですが、おみかけの際にはぜひ。

くるめ食素材探検 vol.75

博多雑煮にはかかせません「かつおな」編

文/靏久 格(産直や 蔵肆)kurashi2020013a.jpg

かつお菜は古くから福岡で作られてきたアブラナ科の葉野菜で、高菜の近縁種とされています。高菜類は中央アジア原産と推定されており、中国南部から日本にわたり野菜として成立したと思われます。

名前の由来は様々ありますが、旨みが多く含まれカツオ出汁が無くても美味しいという事から「カツオ」菜と呼ばれるようになった説、また、煮るとかつおの風味がするから、という説、いずれにせよ漢字で「勝男菜」と書くことから縁起物として正月には博多の雑煮には欠かせない野菜の一つとされてきました。旬は初夏と冬の年二回ですが、需要はやはりお正月にあわせて、ということでこの時期にご紹介させていただきます。主な産地は福岡県、というか県外はおろか県内でも出回らないところがあったり。

緑黄色野菜の一つであるかつお菜は、βカロテンを多く含むほか、ビタミンC、カルシウムを多く含み、またグルタミン酸やアスパラギン酸などのうまみ成分を多く含んでいます。

選ぶポイントは大きさと縮れ方。大きくなりすぎないもののほうが葉も茎もやわらかいように思います。寒さにあたってぎゅぎゅっと縮れた葉はアクが少く辛みもなく、煮ると茎からは旨みが、またほんのりとした甘味が感じられると思います。お雑煮に添えるときは、かつお菜をゆでた後、巻きすで巻いて形と水分量を整えるときれいですね。

ちなみにうちは小豆雑煮です。出雲のものとはまた違い、ぜんざいにするめと昆布の細切りを煮たものとかつお菜を茹でたものを添えて。うちも!って方、ぜひ教えてください。

くるめ食素材探検 vol.74

砂糖の原材料に使われる
「甜菜(てんさい)」編
文/靏久 格(産直や 蔵肆)
syokuzai20191201.jpg
分かりやすいよう砂糖大根と説明することもあります。確かに見た目は大根やカブのようですが、分類上はほうれん草と同じ。こんな畑一面にほうれんそうが植わっちょる!と思うとビートだったりします。原産地は地中海沿岸、日本では火焔菜(カエンサイ)と呼ばれ、江戸時代初期頃に持ち込まれたとされています。

砂糖の原料に使われる「甜菜」(てんさい)は同じ仲間にあたり、この根の部分に蓄えられている糖分を取り出して、砂糖を作ります。砂糖といえば、「さとうきび」を思い浮かべますが、ヨーロッパでは甜菜糖のことを指すことが多いようです。温帯のさとうきび、寒冷地のビート、なんですね。なんでも、全世界の砂糖消費量の約三割が甜菜糖、日本でも1/4が甜菜から作られた砂糖なんだとか。とはいえ、砂糖の原料としての利用は意外と最近、今から約270年前、1747年のことです。ドイツの化学者マルグラーフが、甜菜の根から砂糖を分離することに成功しました。サトウキビの栽培、製糖は8世紀ごろから広まっておりますので、ずいぶん最近ですね。日本に入ってきたのは明治11年、パリ博覧会に出展されていた甜菜を北海道に導入します。が、うまくいかず工場は閉鎖、ビール工場に転用されます。これが札幌観光の定番スポット「サッポロビール園」の前身です。
甜菜は糖分をしっかり含んでいるため、少々雪が降ろうが大地が凍ろうが収穫可能です。氷点下の日が珍しくない11月の北海道、農家さんはじゃがいもなど寒さに弱い作物を先に収穫、甜菜はこれから収穫、工場に運ばれます。麦・大豆・じゃがいもなどとともに、北海道の輪作体系に組み込まれている甜菜。糖分を抽出した絞りかす(ビートパルプ)も家畜の飼料として有効に利用されています。

くるめ食素材探検 vol.73

ボルシチには欠かせない、赤いお野菜です。
「ビート(ビーツ)」編
文/靏久 格(産直や 蔵肆)
syokuzai201911.jpg
甜菜糖の原料となる「甜菜」とは同じ仲間、ですが根っこを食用にする「ビート」は区別するためにテーブルビート、と呼びます。お砂糖の原料となるくらいですから、とても甘いお野菜の一つです。

世界三大スープの一つでもありウクライナ料理の定番、ボルシチには欠かせない野菜です。もっとも、ポーランドやロシアも「我が国の料理だ!」と主張しているようですが。ボルシチの鮮やかな赤紫色はテーブルビート由来です。このボルシチ、日本には東京・新宿中村屋にロシアの作家、ウクライナ人のヴァスィリー・エロシェンコが伝え、1927年に販売されたものが本格的な始まりとされているんだとか。中村屋が広めたものはカレーだけじゃないんですね。ほかにもピクルスや酢漬け、薄くスライスしてサラダなど。綺麗な縞模様を活かすぐっと映えること間違いなし。最近では沖縄や九州でも栽培されるようになり、缶詰なども見かけますがやはり旬は今の時期。まだまだメジャーとはいいがたいお野菜ですが、お見かけのさいはぜひ一度ご利用ください。ビタミンCが豊富ですし、葉には鉄分が豊富に含まれています。また、葉酸、水溶性と非水溶性の食物繊維と数種の抗酸化物質を多く含みます。

ビートは、葉付きの物ですと、葉を先にご利用ください。根の部分は1週間ほどは持ちますが、葉の部分は足がはやいです。根っこを冷凍するときには丸ごとゆでて使うサイズに切り分けて保存を。大根なんかと同じく、竹串を刺した時にスッと刺さるか刺さりにくいかな、というくらいがベストです。すこし水分を飛ばして冷凍すると長持ちします。

くるめ食素材探検 vol.72

県内では久留米が生産量NO.1
「リーフレタス」編
文/靏久 格(産直や 蔵肆)
ri-huretasu2019_10.jpg
レタスもいろいろありますが、大きく分けると4種類。まず見かけることのない茎レタス、よく見かける玉レタス、「立ちチシャ」とも呼ばれる種類に入るロメインレタス、葉っぱだけを収穫するリーフレタスです。今回はこの「リーフレタス」の話題をお届け。
リーフレタスは、サニーレタスやグリーンリーフレタスに代表される、葉っぱだけを収穫するタイプのレタスです。サンチュもこの仲間で、ほかにもいろいろな葉形や葉色の品種があります。原産地は地中海沿岸地域、日本ではヨーロッパの収穫時期と気候が似ている秋につくられるようになりました。しかし、サラダなど生で手軽に食べられる野菜として人気が高まったことから、今では一年中栽培されています。
日本人との付き合いは意外と古くて奈良、平安時代には食卓へあがっていたようです。よく食べるようになったのは文明開化後、明治以降です。余談ですが、日本では明治くらいまではレタスを「ちさ(萵苣)」とよび、漢字では「乳草」。この「ちちくさ」が、「ちさ」「ちしゃ」になったようです。英語名のレタス(lettuce)は、ラテン語のラクチュカ(lactuca)から。この語源は乳を意味するラク(lac)。洋の東西を問わず、ともに「乳」をイメージしてのネーミングなのですね。レタスの花言葉はやはり「牛乳」です。
レタス類全体でみると、日本ではやはり長野県が16万トン余りで第一位。久留米市は一万トン弱と国内シェアで言えば2%程度ですが県内では1位の生産量です。某焼肉チェーンからは指名買いがあるほど品質にも定評があるんだとか。葉肉が薄くやわらかで、栄養価も高く、ビタミンC、ビタミンEやカロテン、ミネラル分も豊富です。
リーフレタスは温度、鮮度が命。また金気を嫌いますので包丁よりも手でちぎったほうが切り口の変色を防ぐことができます。生食のときは、冷水にさらしておき、パリッとしたところで、水分をきって食卓へどうぞ。

Home > くるめ食素材探検

Search
Feeds
Meta

Return to page top