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畜産の現場から第13話 「人間の食料と畜産の食料」

南筑ファーム「久留米さざなみどり」   古賀 宣彦

今回はちょっと気難しい話になりそう。「人間の食料、家畜の食料」の関係について書きたい。
人間と家畜の食料は、切っても切れない関係にある。なぜなら、家畜に食料を食べさせ肥育し、人間はそのお肉を食べるからだ。お肉を1kg作るのに、必要になる家畜のエサの量は概ね鶏は1.9kg、豚は3.5kg、牛は8.5kgと言われている。それぞれ食べるエサの種類は違っても、主なタンパク、エネルギー源となる穀物はトウモロコシや大豆である。
現在、世界の穀物生産量の65%は家畜飼料として使われている。肉の消費が多い現代では、飼料用穀物は大きな意味を持つ。
 BRICsを中心に世界人口は増加をし続け、競争力の地図も変わってきており、輸入穀物が殆どである日本にとって、国の衰退は食料確保の競争に負けることを意味することにもなる。時代の変化とともに、生活スタイルも変わる。近年の日本の食生活においては、海外への依存度が非常に高い。
 「強い日本をつくりたい」という思いとは裏腹に、今日の輸入依存型の生活スタイルは、弱い日本をつくってはいないだろうか?

日本の食肉輸入量は、世界で豚肉1位(114万トン)、鶏肉2位(645万トン)、牛肉3位(697トン)。
日本の食肉生産量は鶏肉1282万トン、豚肉1310万トン、牛肉517万トン。

※参考資料:USDA(http://www.fas.usda.gov/dairy_arc.asp)2010年データを元に作成
         独立行政法人農畜産業振興機構 Alic(http://lin.alic.go.jp/

畜産の現場から第12話 「命を育む、心を育む ~次の世代へ」

南筑ファーム「久留米さざなみどり」   古賀 宣彦

 夏祭りで賑う8月、3歳の娘が1匹の金魚を持ち帰ってきた。もちろん、魚を飼うことの大変さなど分かるわけもなく、金魚掬いがしたくて、可愛くて、母親にねだったようだ。
tikusan.jpg まだ自分が小さい頃の話。親の仕事の手伝いで、ヒヨコがたくさんいる中、処分される欠陥ヒヨコを持ち帰ったことがあった。バレるなり、父親から叱られた。だから隠しながら世話をした。
 日に日に大きくなって、隠し通せなくなり、父親に懇願し、全て責任をもって飼うことを条件に鶏が一生を全うするまで数年間世話をした。死が近くなる頃、ほとんど動けないはずの鶏が、ゆっくりと私の膝元に座って息を引き取ったことは今でも忘れることはできない。
 金魚を目の前にしたとき、娘と一緒に金魚の命を最後まで預かる約束をした。水槽を一緒に買って、快適に過ごせるよう金魚の家を準備した。毎日、金魚と話す娘の姿がたまらなく楽しみである。
 父親も同じ心境だったかもしれない。

※養鶏業界では、疾病等の関係上、鶏を衛生措置のある定められた場所以外で飼育することは禁じられています。当時、必要な衛生措置をとり飼育されていたようです。

畜産の現場から第11話 「夏・本番!」

南筑ファーム「久留米さざなみどり」   古賀 宣彦

 いよいよ夏の到来!暑くてうだるような日がこれから待ち受ける。が、私は夏生まれのせいか、この暑さ201108tikusan.jpgが好きである。涼むならクーラーより扇風機、何より木陰や自然風派。現況の電力・節電問題でエコを推進するつもりもないが、自然の風が好きなだけ。学生の頃は、季節の風、風土の風を受けたくてバイクで日本中を走り回ったこともあったけ…。
 さて、この季節「鶏もクーラーを効かせて飼っているの?」とよく質問される。鶏舎にはクーラーはなく、大型の扇風機をつけたり、霧を発生させ気化冷却する。気温が30℃にもなれば、羽根を広げ、パンチングと呼ばれる呼吸で体内を冷却する(マラソンした後のセーゼー状態に近い。※鶏には汗腺はありません)。
 他に、餌をやるタイミングや陽射しや風の向きを細かく管理しながら、出荷の日を待つ。出荷近くになれば、管理する人間も生きている心地はしない。
 無事に夏を乗り切る…今年は暑さより電気が心配か。

今月の料理:鶏のムネ肉とゴーヤのチャンプルー
疲労抑制効果のあるムネ肉とビタミンCたっぷりのゴーヤ、これに味噌、豆板醤やハチミツ、ゴマ油などで味付けしてスタミナUP!汗をかきながら、がっつり食べてね!

畜産の現場から第10話 「梅雨の過ごし方」

南筑ファーム「久留米さざなみどり」   古賀 宣彦

最近はしとしとと梅雨らしい雨もなくなり、スコールのようでバケツ をひっくり返したような…こんな比喩が似あう雨が多い気がする。農場でも突然の大雨に排水が追い付かず、余計な仕事が増えるようになった。雨が降れば靴は濡れるし、洗濯物は乾かず生臭くなるし、仕事の段取りも遅くなるし、何より何処に行くにしても気分は重たい。
 それでも、私は梅雨が好きである。多くの降水量は地下に水を貯め、地上の生き物の命を潤す。大気の汚れを一掃し、空気を浄化する。梅雨の休みの空を見てみよう!深呼吸をしてみよう。透き通った空気を感じるはず。
 我が家の庭では薄紫色の紫陽花が満開で、カタツムリは角を出してゆっくりゆっくり散歩をしているよう。「何をそんなに急いでいるんだい。雨が降る日はゆっくりしなよ」と語りかけてくる。嫌~な雨も感謝の雨。少し足を休めて梅雨を楽しもう!

今月のおすすめ料理: ムネ肉の梅肉ポン酢かけ
ムネ肉と梅は食欲促進の効果があります。食が通らない時も、さっぱり味でモリモリ食べて下さい。ムネ肉は食べ易い大きさにカットして、お酒につけて、レンジで軽く熱を通します。あとは、種をとった梅を細かく切って散らし、ポン酢をかけて出来上がり!

畜産の現場から第9話 「餌付けの日。親になる日」

南筑ファーム「久留米さざなみどり」   古賀 宣彦

 本日は、我が愛す 久留米さざなみどり の餌付けの日。餌付けとは、孵化したばかりのヒヨコに水やエサをやること、そして管理者がそのヒヨコの親になることである。
 野生動物であれば、まず警戒心を解くための餌やりにあたる。餌付けは、鶏の一生にとって最も大事な一日となる。ヒヨコにとって最適な環境を作り、水、エサ、温度を与える。久留米さざなみどりは受精した卵を温め、約5ケ月間付合いを共にする。これから暑い夏を乗り越え、秋頃が出荷となる。いつもの儀式「ヨロシクね」と挨拶を。
 猛暑を迎える子たちには、いつも心配が尽きない。
 時折、東日本大震災で飼い主と離れ別れたペットや家畜のことを思い出す。早く元の状態になることを祈るばかりである。

今月のおすすめ料理 鶏の内臓(砂肝、肝、心臓)の甘辛煮
暑さがじりじり、貧血になりがちの季節。こんな時は、ビタミン、鉄分豊富な鶏の内臓です。
ヘモグロビンを増産しましょう! 鮮度の良いものを選べば、臭みも気になりませんよ!

畜産の現場から第8話「春は最高!新しい息吹とともに」

 南筑ファーム「久留米さざなみどり」古賀宣彦

すっかり春を迎え、桜の満開とともに私の娘も入園式を迎えた。振り返れば “あっ”いう間であったが、誕生から3年分の写真を鑑賞しながら当時を想い出した。子どもの成長は著しく、本当に楽しい。さて、我が農場でも新しい息吹が・・・わらび、筍がどんどん顔を出している。ちょっとかわいそうだが、美味しいうちに食べたいので、柔らかいうちに摘み取り、灰汁を出し、出汁や鶏肉と一緒にいただく。他にタラの芽やセリなども天ぷらに。旬を感じながら生まれたばかりの命をいただく。香りや食感を感じながら、何だか身体に新しい生命が宿ったかの様。春は元気になる。そして、我が鶏たちも活気盛んで結構なのだが、若干扱い難い季節。これがまた楽しい。
 
今月のおすすめ料理: 筍と鶏肉の料理(煮物、炒め物) “茹でた筍のみずみずしい香りと、カリッと歯切れのよい食感は、芽吹きの季節の元気なエネルギーを感じさせる一品”

畜産の現場から第7話 「がんばろう!日本。がんばろう、畜産」

南筑ファーム「久留米さざなみどり」   古賀 宣彦

404.jpg 未だ鳥インフルエンザが冷め遣らぬまま、先日、東北地方太平洋沖地震が起こった。同じ日本で起こっているのか…今でも目にする映像を疑ってしまう。今は只、被災された方々にエールを送り続けるとともに、自分ができることから応援している。
 さて、畜産でも災害の影響は大きく現地からは嘆きの声が響く。
 海から離れた場所でも、港に臨地している飼料工場は稼働できず、畜産を営むためのライフラインは断たれた。それまで大事に育てられた家畜たちは・・・どうにもならない現実だ。
 地震に、鳥インフルエンザに…様々な困難が押し寄せているが、勇気、元気、諦めない気持ちで、お肉を食べて喜んでもらえるお客様の笑顔ために、鶏を飼っていきたい。
 きっと、他の生産者も同じ気持ちだと思う。

今月のおすすめ料理:もも肉のチキンソテー
”季節の変わり目、体力をしっかりつけて”

畜産の現場から第6話 「鳥インフルエンザ と お願い」

南筑ファーム「久留米さざなみどり」   古賀 宣彦

 先月号で心配していた事態は最悪のものとなってしまった。九州では宮崎、鹿児島、大分で感染が相次ぐ。農場で殺処分された鶏の数、流通、経済的な影響と当事者の精神的ショックは計りしれない。
 「もう止まってくれ!」何度叫んだことか・・・。
 最近、「鳥インフルエンザに感染した鶏肉を加熱して食べても感染しないんでしょ?殺さなくても・・・」と、よく聞かれる。答えは「食べても感染しないけど、ウィルスの感染拡大を止めるために殺処分しなければならない」である。
 人間は感染しても体が大きい分耐えて元気になれるが、鶏たちは体が小さい分、強毒ウィルスであれば1日経てば死んでしまうのだ。
 影響を受け、鶏肉製品は国産品が不足し価格は高くなり、輸入品が多く並ぶようになった。
 皆さんにお願いしたい。国内の畜産農家を元気にするためにも、できるだけ早い復興ができるためにも是非九州産、国産の商品を購入して支えていただけないだろうか。
 これが我々が生き残れる唯一の術なのです。
JR久留米駅内にて直営やきとり店を3月11日にオープンします!
『やきとり六角道』を宜しくお願いします。

畜産の現場から第5話「流行」

南筑ファーム「久留米さざなみどり」
古賀 宣彦

 流行を追っ掛けない性分の私であるが、先日、今流行りの季節性インフルエンザに染まった。
6年ぶりの発症で、丸4日間床に伏せることになった。高熱が続き、関節痛は本当に辛いものである。それまで、健康管理から体調を崩して休んだことが無かったこと、今回の感染原因も明確だっただけに、今となっては己の管理能力の甘さを痛感するばかり。そして、どうせ休むなら、体が元気な時に有意義に寝たかったところ・・・。
 ただ、このことを話せば「感染したのが鶏じゃなくて良かったね」と言われる。心境としては複雑になる言葉であるが、確かにその通りである。鳥インフルエンザは未だ予断のできない緊迫した状況は変わらない。業界一丸となって対策を講じているが、自然の猛威は我々の想像を遥かに超えて迫ってくる。
 何れにせよ、自分の事ではないが、後悔のないよう最善を尽くすのみである。
今月のおすすめ料理:水炊き

畜産の現場から 第4話「行事を楽しむ」

南筑ファーム「久留米さざなみどり」
古賀 宣彦

子どもは冬休みに入ると、「クリスマス」「もう少し寝ればお正月=お年玉」といった楽しい行事が目白押しである(僕は与える側になったので子どもの喜ぶ顔だけが楽しみか…)。
 もっとも、鶏業界においても最盛期♪ところが、近年は事情が変わってきている。クリスマス=ローストチキンや唐揚げ、正月=がめ煮 といった行事料理を食べられることが少なくなり精肉販売も伸び悩むことが多くなった。家庭で料理される機会が減ってきていると推測するが、鶏肉が食べられなくなっていることは何とも寂しい限りである。
 そこで、誰かと一緒に料理を作って食べて、ワイワイ楽しむことも行事を楽しむ方法として提案したい。料理が美味しかったり、まずかったり…味覚が残す思い出。きっと、翌年の今ごろは当時の話題でもっと楽しくなるはず♪手始めに、ローストチキンなどはいかが?家族や友人と一緒に料理して、豪快に「ガブリッ」。寒い冬を乗り切ろう!
 ※作り方はインターネットで検索してみて下さいね!簡単ローストチキンのレシピが沢山ありますよ!

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