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たのしい本のせかい Archive

たのしい本のせかい vol.104魔法にかかってみませんか?

久留米子どもの本を読む会 代表  田原 和子

 ジョン・アップダイクの本に、『十月はハロウィーンの月』(長田弘:訳みすず書房)があります。「詩人が贈る絵本」というシリーズの一冊で、パーカートの、美しい挿絵入りの本ですが、幼い子どもにではなく、小学校の高学年から中・高校生にプレゼントしたくなる絵本です。何かにつまずいて、心にわだかまりが出来た時など、そっと本棚から抜き出して、声に出して読んでみる。そんな使い方が似合う一冊だと思うのです。長い人生を送る間には、沢山の本に出会うのだけど、一つ一つの言葉をかみしめながら、著者と対話をするように、何度でも読み返したくなる本には、なかなか出会えないものですよね。
 子どもたちが、「この本こそ私の本!」と思えるほど好きになれる本に出会えるまでは誰かがしっかり、サポートしてやる必要がありそうです。現代のハロウィーンといえば、カボチャが付き物?ハロウィーンを楽しむ絵本と、豊かな実りを感じて貰う絵本を選んでみました。(カボチャも大活躍)

《ジョン・アップダイクさんの作品から》
201110t05.jpg『マルティンとかぼちゃおばけのまほうのたね』(あかね書房) 
                        クリスタ・ウンツナー:絵  イングリート・オストヘーレン:文
201110t03.jpg『かぼちゃスープ』(アスラン書房)ヘレン・クーパー:文・絵

201110t04.jpg『はしれ!かぼちゃ』(小学館) エバ・メフト:文 アンドレ・レトリア:絵

201110t02.jpg『かぼちゃありがとう』(架空社) 木葉井悦子:文・絵

201110t01.jpg『おおきなかぼちゃ』(主婦の友社) エリカ・シルバーマン:文  S・D・シンドラー:絵

たのしい本のせかい vol.102ほんとかしら?

田原 和子
久留米子どもの本を読む会 代表

 一向にはかどらない、東日本の復興の足取りや、福島原発の生々しい事故の様子に心奪われて、落ち着かない気分でいる間に、もう七月。子どもたちにとっては楽しいはずの夏休みが、そこまでやって来ている。環境さえ整えば、余り時間にとらわれず、読書を楽しむことが出来る機会でしょうか。しかし最近では、絵本までが電子機器で配信される時代。
 出版社の危機、本屋さんの危機が差し迫っているように見えるこの時こそ、公共図書館を軸にして、園や学校、家庭や地域を巻き込んだ、読書の環を作り上げる事が必要でしょうか。立派な建物や道具等は必要ない。そこには、幾冊かの本と、子どもたちが落着いて、お話を聞くスペースがあればいいのだから。一冊の本を囲んで、親子で読みあう楽しさ、何cmにもなる長編を読み終えて、その本を枕に、満足感を心行くまで味わうなんて楽しみを、無くしてしまう事なぞ出来ませんよね。

《「ほんとかしら」と思ってしまう本》
 2011022.jpg 『ほんをよめば なんでもできる』(セーラー出版) ジュディ・シエラ:文 マーク・ブラウン:絵
2011021.jpg『ほんなんて だいきらい!』(主婦の友社) バーバラ・ポットナー:文 マイケル・エンバリー:絵
2011024.jpg『これは 本』(BL出版) レイン・スミス:文・絵
2011023.jpg『ろばの としょかん』(集英社) アーサー・ビナード構成・文
2011025.jpg『ママの としょかん』(新日本出版社) キャリ・ベスト:文 ニッキ・ベイリー:絵

たのしい本のせかい vol.101声に出して読もう!衿子さんの絵本を。

田原 和子
久留米子どもの本を読む会 代表

 赤ちゃん絵本を探していて、『ぞうくんは むかし あかんぼでしたか』(偕成社)という絵本をみつけました。中谷千代子絵の、岸田衿子さんの絵本です。お二人の作品では、ドーデー原作の『スガンさんのやぎ』(偕成社)も印象深い絵本です。
 ユーモア感覚が豊かで、ピコンピコンと、飛び跳ねるような音とリズムでつづられる文章は、声に出して読んでいくと楽しい気分がふくらんくるようで嬉しくなる。『かぞえうたのほん』(福音館書店)、『どうぶつはいくあそび』(のら書店)、翻訳絵本では『どろんここぶた』『ハロルドとむらさきのクレヨン』(文化出版局)他、子どもたちの大好きな絵本たちを残して、衿子さんはこの4月に旅立ってしまわれた。天真爛漫で、誰にでも(人間だけでなく)親切だった衿子さん、あちらの世でも周りを賑わせておられるのでしょうか。今度図書館で、『かばくん』(福音館書店)を読みましょうね。

たのしい本の世界 vol.100すてきなおうちを!

 田原和子

久留米子どもの本を読む会代表

毎年3月に刊行される『この絵本が好き』、
この雑誌で、昨年出版された中から、翻訳絵本の1位に選ばれたのが、長田 honn5.jpg弘さん訳の『百年の家』です。1600年代の半ばに建てられ、年を経て古び、打ち捨てられていた石造りの素朴な家が、1900年のある日、きのこ狩りに来た家族に発見され、再生されてからの百年の歴史を語るというもの。時代と共に、また住む人の生活様式によって変えられ、最後は周辺の風景と共に、その形を留める事も出来なかった家の物語を、アンケートに答えた人たちは、どんな感慨を持って読んだのだろうと、そこも興味の持てるところです。
 3月の、東日本災害の惨状を目の当たりにしては言葉もなく、只祈るしかない想いですが、この機を生かし、個人の欲を少し抑えて、
自然の力とも折り合える街づくりに、取り組めたら良いですね。『100かいだてのいえ』
『つみきのいえ』など、近年話題になった家の絵本も面白いけど、今月選んでみた絵本も、一寸楽しく、考えさせられる物でもあります。

(家が主人公の絵本)
『トトシュとマリーとたんすのおうち 』
カタリーナ・ヴァルクス:作(クレヨンハウス)
『たなかさんちのおひっこし』(あかね書房)
大島妙子:文・絵
『ヘンリー、いえをたてる』(福音館書店)
D・B・ジョンソン:文・絵
『ちいさいおうち』(岩波書店)
バージニア・リー・バートン:作
『百年の家』(講談社)
ロベルト・インノチェンティ:絵
J・パトリック・ルイス:作

たのしい本のせかい vol.99アーサー・ビナード、こだわりの言葉

田原 和子
久留米子どもの本を読む会 代表

410.jpg いまどきの日本人より、日本語が達者なのではと思われるアーサー・ビナードさんは、まるで幼い子どものように、好奇心で満ち溢れている人のようでした。珍しい言葉を聞くと、一つ一つメモし、珍しい物を見つけると、ちゃんとカメラに収めておく。先ず視覚的に言葉をとらえ、そこから奥深く究めて覚える。
 そのような学び方を続けて居られるようにみえました。詩人、俳人、随筆家、絵本作家、翻訳家等、幾つもの顔を持つビナードさんは、平和問題や環境問題にも深く関わっておられるようですが、日々の生活も、これに拘って過ごしておられるようでした。明るくて気さくで、サービス精神旺盛なビナードさん、楽しい絵本がたくさん有るのだけれど、彼の多様な面にふれて貰いたいと思って、今月の本を選んでみました。「子どもが、疑問を持つ事が大事だ」と言われた言葉が心に残ったのですが、言葉を抽象的なものとしてではなく、もっと生活につなげて楽しめたらいいですね。

たのしい本のせかい vol.98降矢ななさんの絵本の魅力

  田原 和子

久留米子どもの本を読む会 代表

 とうとう、降矢ななさんが来てくれました。東欧の、スロバキア共和国にお住まいの絵本作家です。長谷川摂子さんとの絵本、『めっきらもっきらどおんどん』『きょだいなきょだいな』や、内田麟太郎さんとの絵本『ともだちやシリーズ』などは、あまりにも有名ですが、他にも、たくさんの絵本を描きだしている人です。何人もの作家の作風を生かしながらも、伸びやかで力強いタッチの絵が魅力的で、つい手に取ってみたくなるような作品に仕上がっているのはさすがです。今回は、久留米子どもの本の学校の講座に、お招きしたのですが、ご家族の写真を含む、様々な映像を見せて頂きながらのお話は、時間を忘れる程充実した一刻になりました。昨年秋に出版の『ナミチカのきのこがり』は、自然との調和のとれた生活がまだ残っているというスロバキアでの、お嬢さんの暮らしのひとこまが素材になっているらしい。この後も、続きの物語が期待できるのではと思ったことでした。

たのしい本のせかいvol.97うさぎはうさぎ

田原 和子
久留米子どもの本を読む会 代表

 イソップの「うさぎとかめ」や、古事記で語られる「いなばの白うさぎ」程さかのぼらなくても、絵本に描かれている兎の主人公たちは、数限りなくいるようです。ポターの「ピーターラビットのおはなし」や、アリソン・アトリー「グレイ・ラビット」の何冊かの絵本、ワイズ・ブラウンの「おやすみなさいおつきさま」や、ガース・ウイリアムズの「しろいうさぎとくろいうさぎ」、西巻茅子の「わたしのワンピース」や、せなけいこの「はんしろう」も、可愛い兎たち。そうそうそれに、「うさこちゃん」も加えなくちゃ。
 現代の絵本作家たちが描き出す兎の主人公は、悪戯好きではあっても、どちらかと言えば、良い子の方が多いのですが、様々な国の昔話や神話に登場する兎たちは、自惚れ屋であったり、残酷であったり。この世を生き抜いていく為の知恵や力を、どのように付けていったら良いのかなどを、伝えてくれる物語とも言えるのでしょうか。
《これも、うさぎが主人公》
『あな』(ビリケン出版) 片山令子:文 片山健:絵
『ハネスうさぎはゆうびんやさん』(講談社) バーナデット・ワッツ:文・絵
『わらって!リッキ』(フレーベル館) ヒド・ファン・ヘネヒテン:文:絵
『天の火をぬすんだウサギ』(評論社) ジョアンナ・トゥロートン:文・絵
『うさぎのみみはなぜながい』(福音館書店) 北川民次:文・絵

たのしい本のせかい vol.96『仲良くしようね、おじいちゃん』

久留米子どもの本を読む会 代表 田原 和子

ウルフ・スタルクの作品に、『おじいちゃんの口笛』(ほるぷ出版)という絵物語が有ります。絵の量も多いので、絵本と言っても良いのですが、字が小さくて読んであげた方が楽しめる本です。おじいちゃんのいない男の子と、老人ホームで出会った孤独な老人との、愉快でそして悲しい別れを描いたお話。しかしその別れが悲劇ではないのはどうしてだろう。もともと、血の繋がりなんか無くても、交流の機会さえあれば、老人と子どもたちはもっと仲良くなれるのではないかと思うのですが。子どもたちはきっと、長い人生を過ごして来たおじいちゃんたちのほら話も含めた、冒険談やロマンスを面白がって聞いてくれるのではないでしょうか。
 今年はうさぎ年。うさぎ年の男性って、いたずら好きで優しいのかな。定年退職などで少しは時間にゆとりができた男性方に、少々肩の力を抜いて、子どもたちの中に降りてみたら如何と提言してみたいと思いました。

《いろいろなおじいちゃんの絵本を》
『おじいちゃん』(ほるぷ出版) ジョン・バーニンガム:文・絵
『ちさとじいたん』(岩崎書店) 阪田寛夫:詩 織茂恭子:絵
『だいじょうぶ だいじょうぶ』(講談社) いとうひろし:作
『ぼくとおじいちゃん』(くもん出版) みやもと ただお:文・絵
『おじいちゃんわすれないよ』(金の星社) ベッテ・ウェステラ:文/ハルメン・ファン・ストラーテン:絵

たのしい本のせかい vol.95『クリスマスには素敵な絵本を!』

田原 和子
久留米子どもの本を読む会 代表

11月に入って書店の棚で、新しいクリスマス絵本を、何冊かみつけました。この季節、新しい本をみつけるとこの本は誰に読んでやろうかとか、この本なら誰に贈ったら喜んで貰えるだろうかと、あれこれ本をめくりながら思い惑うのも楽しみの一つ。
 この頃では幼い子どもだけでなく、どの年代にも喜んでもらえそうな絵本も増えてきています。美しい絵で素敵な物語を伝えてくれる絵本たち。こんな楽しい物を子どもたちだけに独占させるなんて勿体ない。
 あなたがもし細かい字のぎっしり詰まった書物から、遠ざかってしまった年代なら、「絵本の世界を少しのぞいてみませんか」と、誘ってみたいと思うのです。絵本の中で地域や世代をつなぐ事のできる言葉や風景が、見つけられると思いますよ。
 クリスマスやお正月には、一寸だけ立ち止まって、自分の生き方や社会とのつながりを考えてみるきっかけにしてみたいですね。

201012hon.jpg《クリスマスの贈り物にしたい絵本》
『もりのおくりもの1・2・3』(福音館書店) たるいしまこ:作
『ゆきの まちかどに』(ポプラ社) ケイト・ディカミロ:文/バグラム・イバトーリーン:絵
『喜びは つかむもの』(メディアファクトリー) ターシャ・テュダー:作
『クリスマスの おくりもの』(ほるぷ出版) ジョン・バーニンガム:文;絵
『クリスマスツリーの12か月』(講談社) エレン・ブライアン・オベッド:文/アン・ハンター:絵

たのしい本のせかい vol.93『どこの国でも何時の時代も』

田原 和子 久留米子どもの本を読む会 代表

 暑い暑い夏でしたね!「暑さ寒さも彼岸まで」のことば通り、いきなり秋分の日の肌寒さにも、またびっくり。暑さを口実に、怠けに怠けた夏を過ごしたのですが、8月末に開かれた、野坂悦子・木坂 涼の講演会に行ってきました。お二人はともに、翻訳家としてそれぞれ活躍しておられるのですが、時には、ピアノの人も入れて、詩の絵本の朗読会をなさるのだとか。今回は、音楽と映像はなかったのですが、共訳の『だいすき』という絵本の中から一遍を選んで、木坂さんの可愛らしい声の日本語と、野坂さんの落ち着いた声でのオランダ語の朗読が、バランス良く重なってなかなか魅力的なパフォーマンスでした。大人でも、読んで貰うのって嬉しいですね。
 今月の絵本は、この夏見つけた絵本の中から、楽しくて、そして何かをきちんと伝えてくれるものをと、選んでみました。幼い子どもたちは、人権や差別、平和や戦争など、知っておいてほしいと思っても、興味を持てない出合い方では、なかなか心に響かないみたい。これらの本なら、図書館や学校でも読み聞かせ出来て、何かを感じてもらえるのではないかと思いました。
 どこの国でも、いつの時代でも、争いごとの被害を一番に受けるのは、幼い子どもたちなのですよね。内外の、これらの本の作家たちが、いま何を伝えたいと思っているのか、子どもたちと一緒に楽しみながら、あなたも考えてみて下さいね。

『あいつは トラだ』(講談社)ガエタン・ドレムス:文・絵
『おしっこぼうや』(セーラー出版)ウラジーミル・ラドゥンスキー:文・絵
『キンコンカンせんそう』(講談社)ジャンニ・ロダーリ:文 ペフ:絵
『むかし むかし』(イーストプレス)谷川俊太郎:文 片山 健:絵
『こんにちはあかちゃん』(主婦の友社)メム・フォックス:文 ヘレン・オクセンバリー:絵

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