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たのしい本のせかい vol.92内田麟太郎さんはナンセンス作家のはず

内田麟太郎さんはナンセンス作家のはず

 内田麟太郎さんは、大牟田出身の絵本作家です。“絵詞作家”と自称し、数々の絵本をさまざまな画風の画家と組んでつくり出している。絵を描いた人はそれぞれ違うのに、どの絵本もやっぱり“内田麟太郎の作品”として紛れもないと思えるのはさすがです。『こいしがどしーん』『くるぞくるぞ』など、おとなも子どもも楽しめるナンセンス絵本や、『ともだちや』『わにぼう』『ぶたのぶたじろうさん』などのシリーズ絵本でも大活躍の内田麟太郎さんが、このところかなりシリアスなテーマの絵本に取り組んでいます。虐待で死んでいった子ども、愛された記憶を持たない母親に育てられる子ども、自暴自棄になってナイフを握りしめる少年を誰が止められるのかなど。「この絵本を誰に勧めよう」と話題になる絵本です。
 幼児虐待や犯罪のニュースを見ても、なんて悪い奴らだと切り捨ててすぐ忘れてしまう大人たちがこれらの本を読んで、子どもの育つ環境に少しでも目を向けるヒントにしてくれたら、この小さな絵本が社会を動かす力にならないかなと微かな希望を持ってしまうのです。
 きっとこれらの絵本は、子ども時代に継母との折り合いが悪く、愛をもとめ続けた内田麟太郎さんの魂の叫びから生まれてきた絵本に違いないからです。

(内田麟太郎の絵本から)
『かあさんのこころ』(PHP研究所)味戸ケイコ:絵
『まねっこでいいから』(瑞雲舎)味戸ケイコ:絵
『うまれてきたんだよ』(評論社)味戸ケイコ:絵
『だれかがぼくを 殺さないで』(PHP研究所)黒井 健:絵
『おもいで』(イーストプレス)中野 真典:絵
『みさき』(佼成出版社)沢田としき:絵
『「とうさん」』(ポプラ社)つよしゆうこ:絵
『じてんしゃきこきこ』(ビリケン出版)大橋重信:絵
『さかさまライオン』(童心社)長新太:絵
『うそつきのつき』(文溪堂)荒井良二:絵

たのしい本のせかい vol.91 海は広いな大きいな

久留米子どもの本を読む会 代表  田原 和子

 「夏は海!」とは言っても、この頃では子どもたち、なかなか海へ連れて行っては貰えないらしい。子ども時代に、海の楽しさを知らずに過ごすなんて、何とももったいない事だと思ってしまう。
 『うさこちゃんとうみ』や『ぐりとぐらのかいすいよく』など、幼い子でも楽しめる海辺の絵本は数々有るけれども、絵本だけでは、波をつかめない。実際の海の感触を知った子の方が、同じ本を読んでも、深く大きく楽しめるのではないかしら。
 海には冒険が付き物。子どもたちは、小さな貝殻や変哲もない漂流物からでさえ想像をふくらませ、海賊になったり、王様になったり、遠い国のお姫様になったりと、持てる限りの知識を拾い集めて、自在に自分の世界を満喫できる。その位ゆったりとした時空を、どこか混みあわない海辺で、たっぷり味あわせてやりたいですね。
 国内の作家で、海が大好きな人と言えば山下明生さんと思われるのだけれど、海外でも、海大好きな作家たちがたくさん居るらしく、海を描いた絵本は、数限りなくあるのだが、その中から今月は、海がすきでたまらない子どもや大人を描いた何冊かをご紹介。もう古典と言われる物から出版されたばかりの物まで、軽いもの、たっぷりしたもの、様々楽しんでみてください。

(海を楽しむ絵本)
『なみに きをつけてシャーリー』(ほるぷ出版)
ジョン・バーニンガム:作
『コーラルの海』(評論社)
スチーブン・ランバート:絵 サイモン・パトック:文
『アザラシのくる海』(評論社)
マイケル・フォアマン:文・絵
『ぼくの家になみがきた』(岩波書店)
『ぷかぷか』(ゴブリン書房)
石井聖岳:文・絵
『カミーユとすてきなうみのおくりもの』(大日本図書)
ジャック・デュケノワ:文・絵
『なつはうみ』(偕成社)
村上康成:絵 内田麟太郎:絵
『すばらしいとき』(福音館書店)
ロバート・マックロスキー:文・絵
『なみ』(講談社)
スージー・リー:作
『わたしのうみべ』(佼成出版社)
長新太:作

たのしい本のせかい vol.90 あまんきみこさんのたくさんの作品を!

久留米子どもの本を読む会 代表  田原 和子

 6月の初め、あまんきみこさんの講演会が北九州と大野城市で開かれました。教科書等でもお馴染みの作品が有るせいか、どちらの会場も大盛況でした。久留米市立図書館でお話を聞いてから、もう何年になるのでしょうか。此方はずいぶん年取ってしまった気分なのに、変わらず優しげで、しなやかで、そして凛としたお姿やお話振りに接して、たくさん元気を頂いて帰って来ました。
 『一緒にお話の世界を楽しんで貰って、一緒にドキドキして貰えたら嬉しい』との想いで作品を書き続けて来られたとの事。今までどれだけ多くの子どもたちが、楽しみを分けて貰って来たのでしょうか。鍵っ子たちがたむろして学童保育の様相であった西分館子ども室で、よく読んでいたのが『ひつじぐものむこうに』や『おにたのぼうし』等でした。《メルヘン》という呼び名にこだわっていられるように思えるこの人の作品ですが、沢山の作品の中には、ただ優しさだけでなく、たとえ悪意が無くとも他人を傷つけてしまう事も有るのだと、人生のひだを気付かせてくれる様なものも多い。不幸な出来事でも、内に包み込んで過ごして来られたとの事。楽しみを拾いながら歩く人生観を込めて書かれた『車のいろは空のいろ』や、幾種類かの童話集も含めて、ぜひ楽しんでみてください。

(あまんきみこの絵本から)

『いっぱいのおめでとう』(あかね書房)
狩野富貴子:絵
『こぶたのぶうぶそらをとぶ』(教育画劇)
武田美穂:絵
『よもぎのはらのおともだち』(PHP研究所)
やまわきゆりこ:絵
『だんだんやまのそりすべり』(福音館書店)
西村繁男:絵
『くもりガラスのむこうには』(岩崎書店)
黒井健:絵
『父さんのたこはせかいいち』(星雲社)
荒井良二:絵
『おにたのぼうし』(ポプラ社)
いわさきちひろ:絵
『ひつじぐものむこうに』(文研出版)
長谷川知子:絵
『ふうたのほしまつり』(あかね書房)
江口一久:文
『ぽんぽん山の月』(文研出版)
渡辺洋二:絵

たのしい本のせかい vol.79 岩崎京子さん・また

久留米子どもの本を読む会 代表  田原 和子

4月には、素敵な装丁で『花咲か』(石風社)の新装版、6月には『建具職人の千太郎』(くもん出版)、7月には、『花のお江戸の朝顔連』(佼成出版社)と、たて続けに作品を出版し続けておられる岩崎京子さん。物静かで優しげに見える御姿の、何処にあのエネルギーを秘めて居られるのでしょうね。この秋、米寿を迎えられるという岩崎さん、所縁のあるこの久留米で、何かささやかなお祝いのイベントをと、計画が練られているところです。
 岩崎さんが1981年に旺文社で出版、現在は石風社刊になっている、井上伝の伝記物語『久留米がすりの歌』に因み、国指定重要無形文化財久留米絣技術保持者・森山富子さんとの対談、また、久留米市立中央図書館での、「長野ヒデ子さんとの対談」などが、催される予定です。乞う、ご期待!東京生まれの岩崎さんも、子どもの頃には、お父様の実家のある、久留米市北野町には、よく来て居られたとのこと、いとこ達と遊んだ、山本や高良内の野山の様子を、良く覚えて居られるのは驚きです。「久留米が大好き!」と言ってくださる、岩崎京子さんに、功績をたたえる「市民文化賞」等の制度が創設されないものかと、ちょっとだけ声を大きくして呟いてみるのですが・・・ともあれ、歯切れの良い絵本の語り口を、楽しんでみてくださいね。

『ききみみずきん』(ポプラ社)
 若菜 珪:絵
『がんばれ!くるまいすのうさぎぴょんた 』
(教育画劇) 渡辺有二:画
『たにし長者』(教育画劇)
 長野ヒデ子:画
『よっぱらったゆうれい』(教育画劇)
 村上豊:画
『ぼくのユモファント』(草風社)
 ディミトリー:文・絵 岩崎京子:訳
『七つの星トルストイの民話』(女子パウロ会)
 小野孝一:絵

たのしい本のせかいvol.78 ドン・フリーマンの豊かな子ども世界

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久留米子どもの本を読む会 代表  田原 和子

 『くまのコールテンくん』や『くれよんのはなし』は、子どもの頃どこかで、多くの人が出会っているのではないでしょうか。これらの絵本の作者、ドン・フリーマンは、1908年、米国はカリフォルニアの生まれ。高校卒業後に移り住んだニューヨークで、独学で身につけた、トランぺット奏者の仕事をしながら、美術の勉強を続けたとのこと。
 絵本を手がけたのは、夫人のリディアとの共著、『機関車シュッポと青いしんがり貨車』『オペラハウスのなかまたち』などかららしく、地下鉄でトランペットを失くしたのが、絵の仕事に専念するきっかけだったらしい。
 どの絵本にも流れる、ゆったりとした時間。子どもらしい発想や、あくことの無い好奇心をしっかりと捉えた、この人の絵本の数々を観ていると、子どもが子どもらしく居られたこの時空を、古いと片付けてしまわずに、そのまま、子どもたちに取り戻してやりたいと思ってしまうのです。
 生誕100年を記念してか、この何年かに、新しく訳出された絵本も有って、楽しく読み直せるのが嬉しい。ダイナミックで、刺激的な絵の本も魅力的だけど、地味で静かな絵本の中にも、しっかり親子の心を結び付けてくれる、何か目に見えぬ効用を持ったものがあるようです。

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『くまのコ-ルテンくん』(偕成社)
 松岡享子:訳
『くまのビーディくん』(偕成社)
 松岡享子:訳
『とんでとんでサンフランシスコ』(BL出版)
 山下明生:訳
『クレヨンのはなし』(ほるぷ出版)
 西園寺祥子:訳
『野はらの音楽家マヌエロ』(あすなろ書房)
 みはら いずみ:訳
『子リスのアール』(BL出版)
 山下明生:訳
『しずかに!ここはどうぶつのとしょかんです!』
(BL出版) なかがわちひろ:訳
『みつけたぞぼくのにじ』(岩波書店)
 大岡 信:訳
『門ばんネズミのノーマン』(BL出版)
 山下明生:訳
『ダッシュだ、フラッシュ』(BL出版)
なかがわちひろ:訳

たのしい本の世界〈その73〉今年はうし年なのね

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おはなし 田原和子さん(久留米子どもの本を読む会・代表)
〈その73〉
今年はうし年なのね

 うし年は激動の年になるって、本当だろうか。昨年秋からの不況の嵐はまだまだ何かを引き起こしそうだし、ひ弱な児童書出版界や子どもの本の専門店が、あおりを受けずに生き延びられるかが少々心配なところ。12年前に手に入れた『みんなのうし』という絵本は、なかなか素敵な本だったのに、今年はもう購入できないとの事。牛というもの気が良くて、のんびりおっとり、平和が好きという印象は、『はなのすきなうし』に負うところが大きいのでしょうか。この絵本が、アメリカの作品だという事は、この先のあの国の変化に、期待を持てるのではと、ちょっと希望を持ってしまう。きっとオバマ家の子どもたちも、いや、大統領自身でさえも、この絵本を読ん、育っているのかも知れない。そんな事を思いながら、何冊かの、牛が主人公の絵本を選んでみました。気前が良くて、そそっかしくて、好奇心旺盛なお人好し。また、のどかな牧場との結びつきで、ミルクやバター、チーズを分けてくれる大事なお友だちだという事。都会の子どもたちにとっては、なかなか描きにくいイメージだと思うのですが、これらの絵本を読む事でもっと違う牛の世界に出会って欲しいと思いました。このリストの他に、あきやまただしの、『まめうし』も、面白そうです。

たのしい本のせかい〈その72〉面白い本みつけたよ!

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おはなし 田原和子先生(久留米子どもの本を読む会代表)
〈その72〉面白い本みつけたよ!

 子どもたちは、いくら親や先生のすすめでも、手にした本に興味を持てなければ、読み進めるのが難しいものと思われます。無理強いすると、ますます本嫌いに拍車をかけてしまいかねません。読書好きの子に育てたいが、どんな手だてが良いのかとは、親も教師も悩むところでしょうか。「絵本の読み聞かせは続けて来たのに、読書好きには出来なかった」とは、よく聴くお話です。私自身は全ての子どもが本好きになる必要は無いのではと、思っているのですが、読み聞かせを、字が読めるまでのものと思い込んで、入学前までで止めてしまったとしたら、読書力とはなかなか結びつかない事でしょうね。(そういう読み聞かせが、無益だった訳ではありません。) 子どもが自力での読書にたどり着くには、その子が読んで貰うのではもどかしいと思う程、興味の持てる本に出合うまででしょう。
 その後は、同じ作者の本とか、シリーズの本とかなどが手近にあれば、読む意欲がわくかもしれません。それまでは、物語性の有る内容が深めの絵本などを、根気良く読み聞かせていくのが大切でしょう。そのためには大人の側が、楽しい本の世界を少しだけ広げておく必要が有りそうですね。今月の絵本は、この一年位に手に入れた絵本の中から、面白いと思った物の何冊かです。
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『くじらのうた』(偕成社)デイヴィッド・ルーカス:文・絵
『ゆうびんやさんおねがいね』(徳間書店)
 サンドラ・ホーニング:文/バレリー・ゴルバチョフ:絵
『しずかに!ここはどうぶつのとしょかんです』ドン・フリーマン:文・絵
『ひとりぼっち』(徳間書店)フィリップ・ヴェヒター:文・絵
『おばあちゃんの時計』(評論社)
 ジェラルディン・マッコーリーン:文/スティーブン・ランバート:絵
『パパがやいたアップルパイ』(ほるぷ出版)
 ローレン・トンプソン:文/ジョナサン・ビーン:絵
『ちきゅう』(偕成社)ブライアン・カラス:作
『そんなこともあるかもね』(フレーベル館)
 アヴィ:文/マージョリー・プライスマン:絵
『ゆきのまちかどに』(ポプラ社)
 ケイト・ディカミロ:文/バグラム・イバトーリン:絵
『わたしの絵本わたしの人生』(ほるぷ出版)
 ジョン・バーニンガム:著

たのしい本のせかい〈その71〉梶山俊夫を知っていますか?

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おはなし 田原和子先生(久留米子どもの本を読む会・代表)

〈その71〉梶山俊夫を知っていますか?

 『ゆうやけこぞう』は、梶山俊夫さんの作品で、福音館書店(こどものとも11月号)の絵本。秋の野山を彩る真っ赤なからすうりを素材に、それらと遊ぶ動物や鳥をからめた、一ぺんの風物詩。
 この絵本は、以前に冨山房から出版されていたこの人のシリーズ『西山風土記』に連なる一冊でしょうか。ハードカバーではないけれど、つい何冊でも買い込んで知り合いの誰彼に、プレゼントしたくなるから不思議。
 梶山俊夫さんも、古くから沢山の作品を描き出している人です。小学生に読み聞かせをしている人なら、『島ひきおに』や『あほろくの川だいこ 』などは、ご存知でしょうか。それに、昔話絵本の数々。特徴のある、個性的な絵柄でありながら、お話の流れを邪魔しない描き方は『さすが!』としか言い様がない。それでいて、存在感をなくしていないのは、作品の題名を聞いたときまっ先に思い描くのが、文を書いた人の名ではなく、その表紙のちょっとゆがんだような人物であったり、風景であったりするからなのではないでしょうか。。
 抽象画を描いていたという梶山俊夫の世界をたっぷり味わってみたいと、ある美術館で開かれた展覧会の図録を持って交渉してみましたが、まだ久留米では難しいらしい…。絵本で我慢するしかないのでしょうね。

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******* 梶山俊夫のえがく世界 *******
『ごろはちだいみょうじん』(福音館書店)中川正史:文
『ちゃっくりがきぃふ』(福音館書店)桂 文我:文
『おんちょろきょう』(偕成社)木暮正夫:文
『こんこんさまにさしあげそうろう』(PHP出版局)森 はな:文
『虎落笛』(あかね書房)富安陽子:文
『ケンムン・ケンとあそんだ海』(大日本図書)山下明生:文
『おはよう』(小峰書店)梶山 俊夫:文
『うまおいどり』(あかね書房)梶山 俊夫:文
『ききみみをたてて出かけよう』(毎日新聞社)梶山 俊夫:文
『ゆっくらゆっくらよたよた』(あかね書房)渡辺茂男:文
『クムカン山のトラたいじ』(ほるぷ出版) 松谷みよ子:文

〈その70〉伊藤秀男は、応援団の団長さん?

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〈その70〉伊藤秀男は、応援団の団長さん?

おはなし 田原和子さん
(久留米子どもの本を読む会 代表)

 伊藤秀男さんの絵本には、大きなしっかりとした瞳でまっすぐ正面を見すえる子どもの顔が表紙絵になっている絵本が、何冊もあります。伊藤さんに始めてお会いしたのはまだ彼の絵本を識る前だったのですが、がっしりと素朴な風貌が、そののち『けんかのきもち』『こどもザイレン』など、彼の絵本に出会ったとき、そのままご本人と結びつける事が出来て嬉しくなりました。こちらの講座にお招きしてお話を伺った折には、娘の海さんが主人公の絵本『海の夏』製作のいきさつ等をお聞きすることができて、興味をひかれました。この時にようやくこのお話が、夏の海のことではないのに気づくなんて何てうかつな事でしょう。子どもたちを丸ごと受け止め、丸ごと愛している感じの暖かさが伝わってくるこの絵に出会う子どもたちは、きっと心がとき放たれ、生きていく自信を取り戻してくれるに違いありません。また、大人には子どもと、子どもの本を見直すチャンスを与えてくれるのではないでしょうか。
 大牟田出身の内田麟太郎さんが大蛇山の絵本をつくられる時、ご自分で伊藤さんを指名されたとの事。まだ、絵本の数はそんなに多くはないけれど、新しい作品を待って追いかけてみたい絵本作家です。

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******* 伊藤秀男さんの絵本 *******
『とうちゃんなんかべーだ!』(ポプラ社)伊藤秀男:文
『うしお』(ビリケン出版)伊藤秀男:文
『海の夏』(ほるぷ出版)伊藤秀男:文
『こどもザイレン』(ポプラ社)伊藤秀男:文
『うしおくんとはすひめちゃん』(農山漁村文化協会)伊藤秀男:文
『けんかのきもち』(ポプラ社)柴田愛子:文
『やまのむにゃむにゃ』(佼成出版)内田麟太郎:文
『おでっちょさん』(学研)まつしたきのこ:文
『さばうりどん』(岩波書店)長谷川摂子:文
『わらう だいじゃやま』(石風社)内田麟太郎:文

ベンソンとフックスフーバー〈その69〉

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〈その69〉ベンソンとフックスフーバー

おはなし 田原和子さん
(久留米子どもの本を読む会 代表)

 近頃、「あいしている」とか「好き」とか、なんだか面映い感じをもつ、生の言葉が題名になっている絵本が、増えてきている気がする。そう思いながら『あいしているから』という絵本を、作者名に惹かれて買って来てしまった。この画家の絵本、以前から書店で見つけるたびに手に入れている。
 題名が気になって、なかなか読まなかったこの絵本、内容はかなり面白い。巣から落ちた小鳥を拾ったモグラの坊や、両親の忠告もなんのその、頑丈な鳥かごに閉じ込めてしまっているのをみたおじいちゃんが、どのようにしてこの坊やに、愛の本質をさとらせるかが見もの。幼児でも楽しめる形で描きながら、読んでやる大人にも、沢山の示唆を与えてくれる物、それが絵本の醍醐味でしょうか。
 今回は、イギリスの画家、パトリック・ベンソンが絵を担当した絵本と、ドイツの人気作家である、アンネゲルト・フックスフーバーの絵本を読んでみて下さい。どちらも可愛いけれども、存在感のある子ども像が魅力的な絵本です。訳出本が少なく、作家の資料も少ないせいか、絶版や、品切れの本が多いのは残念ですが、幸い久留米の図書館は所蔵していますので、職員にたずねて、閉架のものは出してもらって下さいね。

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*******パトリック・ベンソン/アンネゲルト・フックスフーバーの絵本*******
パトリック・ベンソン:絵の絵本
『ジョンのふしぎなぼうけん』(金の星社)ラッセル・ホーバン:文 永田徹子:訳
『あこがれの星をめざして』(評論社)ラッセル・ホーバン:文 久山太一:訳
『よるのおるすばん』(評論社)マーティン・ワッデル:文 山口文生:訳
『あいしているから』(評論社)マージョリー・ニューマン・文 久山太一:訳
『ふしぎの森のミンピン』(評論社)ロアルド・ダール:文 おぐらあゆみ:訳
アンネゲルト・フックスフーバー:絵の絵本
『カーリンヒェンのおうちはどこ?』(一声社)池田 香代子:訳
『手のなかのすずめ』(一声社)さんもりゆりか・おつき ゆきえ:訳
『友だちのほしかった大おとこの話』(偕成社)たかはし ようこ:訳
『わすれられた庭』(福武書店)酒寄進一:訳
『ちきゅうの子どもたち』(ほるぷ出版)グートルン・パウゼヴァング:文 酒寄進一:訳

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