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落語スズメ Archive

続けること落語スズメ 第六十七回

松田 一成

 久留米の落語会、お手伝いさせて頂いて長く続いている会が二つある。一つはこのコラムでも度々書いている『琥珀亭オトナ寄席』。次回10月7日で58回目。で今回はもう一つの会のはなし。久留米のサロン的な店を寄席に、その店のお客様同士の親睦を兼ねたような始まりであったと思う。華やかな男社会のヒエラルキーを見せられる場所で、最初の頃はやりにくうございました。エライ人が来ると、取り巻きの方もご一緒でお客様が増えるが、急に来られないとなると、その他のお客様もキャンセル続出。選挙開票日の会は、ほぼ皆様御欠席となったことがありました(笑)。社会に出た男は大変なんだな思いながら、なんとなく自分に無力感を突きつけられたようなこと多々。ママの営業努力もあり、お客様はそこそこ入るのですが、気持ちは低空飛行。そんな始まりだった落語会、ここ1、2年、空気が変ってきました。思い当たるのは、奥様同伴で参加される方が増えたこと。女性は偉大です。笑う。これが一番。旦那にこんな楽しみがあったのかと気づかれたのかしらん。それともう一つ。レギュラーで出演して下さる噺家さんがいらっしゃること。同じ噺家よりも、毎回違う演者の方がお客様には親切だという方も確かにいらっしゃいます。しかし、馴染みには、馴染みの心地良さが。これは、喋る噺家にも影響大。何より、手が抜けない。今度はどんな仕掛けでと、お客様は期待するし、前回の続きで会場の一体感はつくりやすくとも、ややもすると身内受け的なところを、かわす必要がある。一方、客の筋をつかんでいるので、いろんなことを試すことができるし、しくじっても挽回は可。まあ、やりすぎてお客様と対決することになった師匠もいらっしゃいますが(笑)。これはもう何でも一緒かも。続けるということは面倒くさく、大変なのだけれど、一番確実なこと。回を重ねることは強いことです。何より、そのことに関わる人が確実に増えて行く。それが、生業であれ、何であれ、励みであったりするところなど。くるめすたいるさん、200号おめでとうございます。
追伸
琥珀亭オトナ寄席、10月7日金曜日、
立川生志、開演午後7時、木戸2500円、連絡先:琥珀亭0942・38・0570、是非!

いいカタチ落語スズメ 第六十六回

 松田 一成

お伴で博多座大歌舞伎初体験。着物姿のご婦人方もちらほらのなか、ジャケットくらい羽織ってくればよかったかと若干の後悔、そこへアタシの名を呼ぶ旦那の声。オッサン二人で歌舞伎見物と相成った。公演前に旦那の旦那(笑)の楽屋に伺ったのだが、これはまた別の機会(多分書けません)。ロビーに戻り、イヤホンガイドやパンフレットを横目にみつつ、同じ日本人、日本の芸能、わからんこともなかろうと、ままよと座席に滑り込む。花道のちょうど真上、舞台がきれいに見渡せる。ため息が出るというのはこういうことなのかと。アタシはあの定式幕のセンス(永谷園!)に常々疑問を感じていた。アタシがヤボでした。舞台が眩しい。『忠臣蔵七段目』幸四郎の声、魁春の仕草、『英執着獅子』藤十郎胡蝶の舞、それに続く小姓のカタチ(酒を呑みながら見たかった!)。『魚屋宗五郎』菊五郎の情と酒乱っぷり。全てに思慮が及んでいる。役者の動き、衣装はもちろんのこと音、背景、間、これがほとんどの場面でキワを歩いているような感覚、極めて高次元な調和。(なので、恐ろしいことに初めて見たアタシにさえヘタクソはすぐわかるし、上手い役者には本当にあまりの美しさに思わず涙ぐんだ。)ああ。こんなことなら早くから見ておけば良かった。アタシも大向うから『高麗屋!』と叫びたかった。4時間30分にわたる壮大なオッサンコスプレショーにこんな結末が潜んでいたとは。
 帰り道、クチナシの甘い香りがいつもより余計妖しく感じたのは藤十郎のお姫様のせいです。きっと。

圓歌師のこと落語スズメ 第六十五回

 松田 一成

 『どっちかというと、落語界は、極道に近いね。うちの師匠なんかまんまヤクザだもん。その点、相撲取りは師匠を選んでいませんよ、いっちゃあプロダクションとタレントの関係。スカウトっていうでしょう、相撲取りになって下さいって、それに比べてウチは、もうこれは自分が惚れてなっちゃったんだから、師匠が黒い物を白といえば、自分も白、しくじったからって、じゃあ、他の師匠に改めて入門という訳にはいきません。』師弟愛を語る落語家のマクラ。本日その師、三代圓歌のはなし。戦後すぐ、二代目圓歌へ入門。『山のアナアナ』の歌奴で売れまくったのが今から40年以上昔のこと。現落語協会最高顧問、芸歴六十年を越え、御年82歳。なんと日蓮宗のお坊さん(本遊院圓法日信)と二足の草鞋という噂。志ん朝師に教わったという『芝浜』もネタとしてあるそうだが、創作落語『中沢家の人々』が大評判。CD(なんと65分!)にしたら落語史上初のオリコンチャートにランクイン。二千人の新宿厚生年金会館に笑いの渦をおこし、上野鈴本8月昼席は、圓歌師の恒例行事。10日間連続満員札止めは毎年とのこと。『昔は名人キラ星のごとく、圓生がいる文楽がいる、志ん生がいる、その間に自分が出るんだから、同じことやってたら、全然かなわない、だから三平(先代)はどうもスミマセンって、私も山のアナアナってやったんだよ』。そんな芸風からか、圓歌師、人情噺、名人噺好きには、若干分がワルイ。「落語を聴かない者は日本文化を語るな」と評判の小谷野敦氏に至っては、二流落語家を会長にと。ああ。『ドコにいってもスゴイと思うのよ。志ん朝師や談志師との二人会に呼ばれんの。うちのオヤジしか勤まんないよ、お客様は志ん朝、談志目当て、圓歌?でもね、お客様がね、一番笑うのはうちのオヤジの落語なの、この人の弟子で間違いなかったって、ソデで見ててちょっと嬉しいの。』先の落語家、高座を降りた後の話の続き。そういえば、4日福岡の談志一門会は圓歌師が代演だったような。
追伸
琥珀亭オトナ寄席、6月3日橘家蔵之助、桂梅團治、7月1日立川生志、いづれも金曜日、開演午後7時、木戸2500円、連絡先 琥珀亭0942・38・0570、是非!
それと生志師匠出演の『笑点』放送日は6月5日午後5時30分FBS、こちらも是非!

落語スズメ第六十四回その後

松田一成

 「楽屋が15人で客が7人だよ、ほんと笑っちゃうよ、こんな時に落語聞きにくるヤツがいるんだもん、寄席の火を消しちゃあいけねぇって。」頂いた電話から、震災当日、新宿末広亭夜席の様子。こういう時に演芸とういのは本当に弱い。不謹慎だと簡単に切り捨てることはできても、我が身一つの生業ではどうすることもできない。「大きい会からキャンセル、延期」明日は今日の続きだと思える日常じゃないと成り立たない現実が、目の前につきつけられている。ただ、そういう話をして下さる芸人さんが、えらく威勢がいい。様子がいいというのか、こんな時にこそという洒落っ気が、極めて遺憾で、素晴らしく素敵。ある師匠は自分で拵えた震災川柳を容赦なく送ってくる。もちろんここに書くのは憚れる程のものだが、状況が変わらないのなら、笑い飛ばせというのだろう。またある師匠、震災後初めての落語会、東京から逃げるのかとウシロメタサに久留米に来てみたが、こっちの方が危なかったと危機感のうすい九州人に注意喚起。テレビで見る芸人さんの業にも驚いた。国民的人気番組『笑点』でのこと。演芸のコーナー、ゲストはサンドウィッチマン。シチュエーションが不動産屋と部屋探しに来た客。番組をご覧になられた方はお感じになったと思うが、もちろん、連呼していた笑点御法度下ネタの話ではない。痛烈な皮肉に込められた東北頑張れのメッセージに、言葉の力恐るべしの思いを感じた。件の末広速報を入れて下さった師匠は『来てる客も間抜けだけれど、やってるオレも馬鹿だよね』って。いつの間にか芸人の強烈な毒気に当てられて、こういう時だからこそこうでなくちゃと、沈んでいた気持ちが少し軽くなった最近でした。

追伸
そんな『笑点』に立川生志師匠『若手大喜利』出演決定!放送日未定!(笑)多分5月中とのこと。応援宜しくお願いします。次回オトナ寄席では7月1日出演!

落語スズメ 第六十三回

松田 一成

落語物語

 セーラー服と機関銃が30年も前の映画だったと気がついて思わず苦笑。薬師丸ひろ子さん、かわいかったなあ。その映画に出演されていた噺家さんのはなし。見事なチンピラぶりで、主役の薬師丸ひろ子さんを乗せ、バイクで疾走する男。とっても羨ましかったのでアタシはしっかり覚えています。その男、林家しん平。先代三平師のお弟子さんで、二つ目の頃からテレビでお見かけしておりました。寄席ではとってもチャーミングでサービス精神溢れた芸でお客様を迎え、鈴本演芸場でその師の噺を初めて聞いたとき、あまりの日常の切り取り方の繊細さに(その時は食べ物の噺)昔、敵だったこと(含む桂木文さんの件)は、すっかり忘れて勝手に和解させて頂きました。そのしん平師、この春、一本の映画を監督として世の中に送り出した。『落語物語』。公式プレスから、『ここ数年で何本もの落語の映画が作られたのは嬉しかったけど、その世界をちゃんと描いてないと思ったんです。このままだと落語も落語家も誤解されるぞと。普段着物で過ごしてる芸人は数人しかいないし、日常会話に古くさい言葉も出てこないしね。だから僕は当たり前の落語家を描きたかったんです。』と。もうこれは期待します。あの日見た鈴本の高座が監督林家しん平のセンスなら、落語を知らない人も、マニアな落語好きも全ての人が楽しめる映画を作り上げたはず。人情喜劇と銘打ってるらしいいが、落語オタクのあたしとしては落語協会全面協力というのも気になるところ。こちら福岡ではKBCシネマで6月12日より公開とのこと。ああ、待ち遠しい!
追伸
第54回琥珀亭オトナ寄席、出演立川生志、4月8日(土)開演午後7時、木戸2500円、連絡先琥珀亭0942・38・0570、是非!

あとは流れで落語スズメ 第六十二回 

松田 一成

今冬の止めとばかりに積もった雪。昼過ぎからは高速道路も全線通行止め。その晩、久留米で落語会がありまして…あまりの降り様に中止かとの判断も、博多迄来ていた師匠より電話。『伺いますよ!』との明るい調子、アタシは不入りを詫びる言い訳ばかりを考えておりました。会場に着いてみれば、キャンセルがかなりあったにも拘らず、結構な入り。肩口に雪を乗っけたお客様が次から次にご来場。ほっとしたのも束の間、入り口から見える空模様は激しさをますばかり。今度は帰りの足の具合に頭を悩ませておりました。早めに切り上げなくてはならないだろうなと考えながら、演者の登場をを待っていると、高座を待つお客様の雰囲気が怪しい(笑)。『こんな雪の中見に来たもんね感』ともいいましょうか、少々ピリッとしている。コーヒーやビールを飲みながら開始を待つという普段の余裕がない。ううっつ、困った。客が固いのか。新たな悩みが生まれる。わざわざ来てやったもんね感なみなみならぬ中、噺が始まった。この天気を逆手に取ってのマクラから、国を憂う勇者の叫びと、仲間をやっかむ小心者の代弁に噺と笑いがとまらない(一席目牛褒め!)。芸とも本心ともつかぬ一瞬の間が客をのせる。ご想像通り。あとは流れで(笑)いつの間にか雪もやみ、仲入り後二席目、『禁酒番屋』。火の番小屋に酒を持ち込み、煎じ薬と偽った為、役人に全部呑まれてしまうという、誰を主役にしてもいい噺だ。もちろん今晩の主役はお役人。きっかけはこの天気だったのだろうが、そこを鋭く感じとった噺家の嗅覚に感嘆。『落語は緊張と緩和』との言葉は有名ではあったが、お天気迄もそれに含めるとは。打ち上げの燗酒が大変美味しゅうございました。

追伸
第53回琥珀亭オトナ寄席、出演笑福亭風喬、3月25日(金)特別ゲストあるかも!開演午後7時、木戸2500円、連絡先琥珀亭
0942・38・0570、是非!

落語スズメ第六十一回高座まで

松田 一成

 アタシはある大きな命題と戦っている。『カッコイイ』ということはどういうことか。世のご婦人方にもてたい訳ではないことはない、という魂胆がほとんどなのだが(笑)、その為の努力ができない。とりあえず、ジムに通ってメタボな腹をなんとかせねばとか、まあ『カッコイイ』というアタシの定義が俗であるがゆえ、その程度しか思い浮かばないのであるが、自分はカッコイイとありたいのに、街を歩くカッコイイを見ると、社会との差(大袈裟です(笑))があからさまになり、どうもシャクに触る。よってアタシは心の平静を保つ為に、社会のカッコイイは、魂胆があるだけに実は非常にカッコワルイのではないかという妄想によって自分を支えてしまう。そうするとカッコイイを目指す努力はカッコワルイことになり、よって何ら手を打たないアタシは、いつまでもウダツのあがらない、コデブな、オタクおやじのままという負のデフレスパイラルに陥っている。ああ、本当はカッコイイと言われたいの。正月休みに、今は亡き古今亭志ん朝師のDVDを見た。志ん朝師『カッコイイ』のである。噺に入っての仕草はもちろんだが、高座にあがるまでのほんの数メートル、歩く姿がである。黒紋付で舞台下手から座布団迄、ほんの4、5秒、少し前にこごんだ姿。上半身を左右に振らず、いわゆるナンバ歩きというのだろうか、恐ろしく静かな様子、期待のあふれる会場を、一旦、無の状態にしている。多分それは意識して行っているのでなく、本当に志ん朝師自身無となって、落語の世界に入って行く儀式だったのではないかと。集中力だろうか、空気感が映像を通して伝わってくる。シビレるのです。カッコイイのです。腹の具合はアタシとあまり変らないと思うのだが(スミマセン)、物事に全力であたる前の、ちょっとした間。緊張感。オトナの男が必要としているのはそこだと。アタシが目指すべきはそこかと、ベルトの上に乗っかった緩みっぱなしの腹をさすりながら、正月に人生を少し反省しました。
追伸
第52回琥珀亭オトナ寄席、出演立川生志、2月12日(土)開演午後7時、木戸2500円、連絡先琥珀亭0942・38・0570、是非!

落語スズメ 第六十回『ダメじゃん小出の逆襲』

松田 一成

五代目春風亭柳朝師曰く『難しいことを簡単そうに見せるのがプロ』だそうだ。とある高校、大劇場を借り切っての芸術鑑賞会。初めて聴いた古典落語のお後は色物。本日はジャグリング。少々固い客席にカツをいれるべく、細身のスーツ姿で颯爽と登場するは、色白の寺脇康文。会場見渡し、おもむろに着ていたジャケットを脱ぐ。そして又すぐに袖を通す。又脱ぐ。そして着る。脱ぐ、着る、脱ぐ、着る。脱ぐ、着る、脱ぐ、着る。会場内、みるみる膨らむ不信感。この人はいったい何者なんだろう、高校生の頭の中は?マークでいっぱいに。それを感じ取った件の寺脇康文氏、「本日は○○高校の生徒さんと戦略的互恵関係を結びに東京からやって参りました、嘘でもポジティブ、本気でネガティブ、黒になりきれないグレーな笑いの黄色いエンターティナー、ダメじゃん小出でお楽しみ下さい!!」。澱もののようにつもる不安感。「今から1時間30分程私の芸を鑑賞して頂き、その後皆さんと一緒に○○高校の校歌を歌いましょう!」。会場中に広がる動揺。そして恫喝。「40過ぎのオヤジががんばっているのだから笑え!」。その後は始終、ダメじゃん先生のペース。路上で揉まれた芸は本寸法。アクロバットとパントマイムの要素を含んだ超バランス芸には、悲鳴にも似た咆哮が広がり(使うのはビスケット)、特別ゲストのアキヤマくん(生徒さんです)とのコラボの完成には会場割れんばかりの感動の拍手。圧倒的余韻を残し、ステージ終了。30分の大熱演を迎えたのは、舞台ソデで出番をひかえた落語の師匠と担当の先生の大笑いでした。いやあ、よかった。プロです。
追伸
そのダメじゃん小出先生がキャナルシティ博多のサンプラザステージで1月1日~10日まで見られます。是非!第51回琥珀亭オトナ寄席、出演立川生志、1月8日(土)開演午後7時、福引きやります!木戸2500円
連絡先琥珀亭0942・38・0570
こちらも是非!
 あっ、今年も宜しくです。

落語スズメ 第五十九回『琥珀亭さんのこと』

 『前略、久留米落語会を次の日程よりお選び下されば幸いです。6月6日~9日。こちらの日程、5日長崎福江島入り、6日同島昼実施後福岡入り、メンバー桂才賀、曲芸・鏡味仙一の2名。才賀携帯○ー△□』 平成16年2月23日付け。その三ヶ月前の久留米の小料理屋での口約束が実現するきっかけとなったハガキ。クリスマスイブの顛末は以前このコラムに書いたが、久留米落語会『琥珀亭オトナ寄席』が今月10日、50回目を迎える。ありきたりで全く言い尽くしていないのですが、皆様本当にアリガトウゴザイマス!いいオトナが面白がることは、ままありますが、30人足らず、一地方都市の落語会がここまで続くとは。今回は、確実にその理由の一つとなっている琥珀亭さんのことを改めて。この秋で創業35年といいますから久留米でも長くなさっている喫茶店です。コーヒー、音楽、読書。アタシが通い始めて四半世紀、生活するにはほとんど必要ない膨大な知識と、生きていくには一番大切な人との間、礼儀をここで教わっているような。蔦のかかった店の雰囲気は、暖かなステンドグラスと素敵なサーフボードでカモフラージュされていますが(笑)、定点観測者から見ると、そらまあ、とにかくいろんな人が来る。話をしに来る来る。大谷の学生さんの恋愛相談から、芥川賞作家の語る世界の明日まで。聞き上手なマスターのおかげか、久留米三大ケイコ(後は、マリンさんとブラッカさんとこ(私見)美人ママの魅力か。言葉や文字、感覚の醍醐味を味わえる希有なお店。なにより時間を贅沢に楽しめる人が集まるから、この落語会、これだけの回数を重ねることができたのだと思います。何故『オトナ寄席』なの?と訊かれます。多分最初の頃は終演時間が今より遅かったから(笑)。これからも『琥珀亭オトナ寄席!』是非是非宜しくお願いします。皆様よいお年を!
寿『第50回オトナ寄席!』
12月10日(金)午後7時開演、
木戸2500円、出演立川生志!
電話0942-38-0570
琥珀亭!是非!

落語スズメ 第五十八回『やかんの先生』

松田 一成

噺家の書いた本を読むのは楽しい。落語の口調が耳に馴染んでいて、読んでると自分のためだけに話してくれているような、贅沢な感じがしていいものです。お気に入りの一冊でもある『正蔵一代』なんていう聞き語り本は、古い東京弁を無理に活字化しようとしているもんだから、やたらちっちゃいアやエの文字が出てくる。結構な大作なので、八代目林家正蔵の落語を聞いたことがなければ、逆に最後迄読み通すのに難しいのではないかと思うくらい、アタシの半可通振りも、なかなか大変です(笑)。さておき、噺家の書いた本ですが、談志師曰く『噺家が出す本をみて、「本」と名付けていい内容のあるのは自分とこの人だけだ』の御紹介。三代目三遊亭金馬『江戸前の釣り』。釣って食べてまた釣って~釣り十二ヶ月~の副題から、その月の釣行と顛
末を箇条書き風にまとめただけなのだが(ちなみに11月は『江戸前の釣りハゼ』)、さすが噺家なのに講釈師みたく『先生』と呼ばれていた人だと、読んでいて思わずニヤリとしてしまった。いちいち挟まれる蘊蓄と芸談が楽しいのである。落語『居酒屋』で小僧にからむ口調を想像しながら、キス釣りの竿が豪華な訳、落語『野ざらし』の竿ははぜ釣り竿だったとか、タナゴのヤキジューを、両国橋の佃煮屋では売り物にしていたとか。千葉からのフナ釣りの帰り線路を歩いていて片足を無くした金馬師ではあるが、それをもろともせず、釣り行脚を楽しんでいるのだ。釣りの為には休演構わず、届けを出したがいいが、どうも天気が怪しい、まさか寄席にも行けず。とたんに天候回復、そこで一句
 青空を にらみ弁当  家で食い 
シャレてます。

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